サッカー元日本代表で、ワールドカップ(W杯)に3大会連続で出場したMF稲本潤一選手(45)=関東1部リーグ・南葛SC=が4日、現役引退を発表した。稲本選手は日本サッカー界を引っ張ってきた「黄金世代」の中で数少なくなった現役選手の一人だった。
日本サッカー界で、黄金世代は1979~80年生まれの選手を指すことが多い。99年にナイジェリアで開催された世界ユース選手権(現在のU20W杯にあたる)で、国際サッカー連盟(FIFA)主催大会で初めて決勝に進み準優勝するなど躍進。「黄金世代」「ゴールデンエージ」の愛称が定着した。
フル代表と兼任だったフィリップ・トルシエ監督が率い、日を追うごとに丸刈りにする選手が増えるなど、一体感を持った戦いぶりも話題を呼んだ。
黄金世代の中心が、当時既に98年W杯フランス大会を経験していた小野伸二さん(45)と、変幻自在のドリブラー本山雅志さん(45)。2人はベストイレブンにも選ばれた。
稲本選手、小野さん、本山さんにとどまらず遠藤保仁さん(44)、高原直泰さん(45)、小笠原満男さん(45)、中田浩二さん(45)、加地亮さん(44)ら個性的で才能豊かな選手にあふれ、同世代が多くメンバー入りした2000年のシドニー・オリンピックで8強入り。長く代表やW杯など国際舞台での躍進を引っ張った。
寂しい知らせが相次いで届いたのは23年だった。小笠原さん、中田さんと同期入団し鹿島アントラーズを「常勝軍団」に押し上げた本山さんが同年4月に引退を表明した。ドイツ1部のハンブルガーSVなどで活躍した高原さんは同8月、けがに泣いた「天才」小野さんは同9月に現役引退を公表。同10月には99年に世界の強豪相手にゴールを守ったGK南雄太さん(45)、24年1月には日本代表で152試合、J1リーグ戦672試合に出場し、いずれも歴代最多記録を残した遠藤さんも引退を決めた。
99年の世界ユース選手権メンバーで、今季も現役選手としてプレーしたのは、稲本選手と社会人チームで監督兼任の永井雄一郎選手(45)の2人だけだった。一時代を築いた選手たちが相次いでピッチに別れを告げる姿は、時の移ろいを感じさせる。【角田直哉】
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