【広島商-東海大札幌】二回表広島商1死三塁、小田健登がスクイズを決める=神宮球場で2024年11月22日、新宮巳美撮影

 明治神宮野球大会の高校の部は22日、神宮球場で準々決勝があり、初出場の広島商(中国・広島)が東海大札幌(北海道)を3―0で降し、4強入りした。広島商は23日の準決勝で、敦賀気比(北信越・福井)と対戦する。

 史上3位タイの春夏通算7回の甲子園優勝を誇る古豪も、神宮大会の舞台に立つのは初めて。伝統の小技を生かした堅実な野球で初勝利をつかんだ。

 「らしさ」が光ったのは2点を先取した後の二回。先頭打者の徳永啓人が二塁打を放つと、続く中本拓志の犠打で三塁に進んだ。そこで打席に入ったのは1番・小田健登だ。心は決まっていた。

 「二塁打が出た時点でスクイズを確信していた」

 初球だった。外角に来たボール気味の難しい変化球をきっちりと投手前に転がし、確実に3点目を奪った。小田は「バント、スクイズの練習はどこよりもやってきた」と自信にあふれた表情で振り返った。小技などを駆使し1点をもぎ取り、序盤で主導権を握ると、先発の徳永が完璧な投球で3点を守り抜いた。

 広島商は1899年創部で、達川光男(元広島)や柳田悠岐(ソフトバンク)らを輩出した伝統校。夏の甲子園大会は1916年の第2回大会で初出場し、夏6回、春1回の優勝を誇るが、明治神宮大会とは無縁だった。

 明治神宮大会に秋季地区大会の優勝校が出場するようになったのは、96年の明治神宮外苑創建70年記念大会からだ。広島商が前回、中国大会で優勝した31年前の93年は現在のチームを率いる荒谷忠勝監督が現役選手だったが、当時の中国地区は優勝校が出場しなかった。さらには四国地区との隔年で出場していた背景もあった。

 小田は「神宮大会は投手のレベルが上がって安打が出づらいので、スクイズなどで点を取るしかない。自分たちの野球がここでも生きたと思う」。理想的な神宮での初勝利に感慨深げだった。【牧野大輔】

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