世界各国の一般道で、時に時速200キロを超えるスピードでタイムを競う「世界ラリー」。年間13戦行われるなか、21日から日本で最終戦となる「世界ラリー選手権フォーラムエイト・ラリージャパン2024」が始まります。
この世界最高峰のラリーに挑む日本人唯一のドライバー・勝田貴元選手(31)をヒロド歩美キャスターが取材しました。
■高みを目指し臨んだ今シーズンは、苦難の連続
世界ラリーの舞台でしのぎを削っているトヨタの勝田貴元選手。最大の特徴はスピードです。およそ200キロで、かっ飛ばします。
日本人として27年ぶりの表彰台に上がるなど、トップカテゴリーで活躍してきました。
幼い頃からカートの大会に出場。プロのラリードライバーである父の影響もあり9年前、本場のフィンランドに渡りました。
下のカテゴリーで経験を積み、過酷な環境から這い上がる姿を当時から見ていたのが豊田章男会長です。
豊田章男会長 この記事の写真 豊田章男会長「彼が速いドライバーであることは誰もが認めていると思います。レギュラードライバーとして、2024年のシーズンは、ご注目していただきたい」
今年から全試合に出場するレギュラードライバーに昇格した勝田選手。しかし、その戦いぶりを聞くと、意外な言葉が返ってきました。
今年の戦いぶりを聞くと… ヒロドキャスター「今シーズン振り返っていかがですか?] 勝田選手
「意気込みが空回り。ここまで上手くいかないことがあるんだなっていうぐらい苦しい1年だった」
高みを目指し臨んだ今シーズンは、苦難の連続でした。シーズン序盤、3戦目でのぼった表彰台を最後に、リタイアは5回。自慢のスピードが裏目に出ていたのです。
勝田選手
「結果につなげられないのがすごく悔しくて。自分も勝ちたいし、チームとしても勝たないといけない。プレッシャーを自分に与えてしまって。このままでは本当にチームに必要とされなくなる。自分で自分を追い込んでいった」
悩み抜いた勝田選手とチームは“ある決断”を下します。
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■ラリー人生初の欠場…復帰後の試合で託された「運命」■ラリー人生初の欠場…復帰後の試合で託された「運命」
支えてくれた仲間たちラリー人生、はじめての欠場。そんな時に支えてくれたのが、仲間たちでした。
勝田選手「チームと話す機会があった。チームメイトのカッレ・ロバンペラ、セバスチャン・オジェもそうだし、エルフィン・エバンスも、全員が電話をくれて、色々な話もした。チーム全体を統括して見ているトム・ファウラーとは何時間もしゃべって。すごく前から気にかけてくれていた」 トム・ファウラー
チームのマシンを整備・調整する技術のトップ、トム・ファウラー。勝田選手の走りをデビュー当時から常に見て来た人物です。
ヒロドキャスター「どんな意見だったんですか?」 勝田選手
「チャンスが来る前にミスして居なくなってしまう。優勝しにいってくれという期待よりも、上手く経験を積み重ねて、『チャンスをものにしてほしい』って。多少タイムが伸びなくても、焦らずに地に足つけて進めば、どこかでチャンスが来る。ドライバーの目線じゃない目線を教えてもらった時、納得することもたくさんあった。違ったアプローチを本当に、本当に心から試していかないと。それを初めて試したのがセントラルヨーロッパラリーだった」
チームの年間優勝争いが佳境を迎えた第12戦「セントラルヨーロッパ」。トヨタはチームのタイトル争いでヒョンデに次ぐ2位。逆転を目指す中、レジェンドのオジェが痛恨のリタイア。チームの年間優勝を逃しかねない大ピンチ。運命を託されたのは、この大会で復帰の勝田選手でした。
仲間たちのアドバイスを胸に、焦らず、冷静に、攻めるべき所で攻める。最終ステージは、全ドライバーの中で一番のタイムを叩き出しての復活。1位のヒョンデとのポイントも15ポイント差にまで縮め、チームを救った勝田選手。最終戦のラリージャパン、チームの逆転優勝へ向け、望みをつなぎました。
勝田選手 ヒロドキャスター「いよいよラリージャパンが控えていますが?」 勝田選手
「焦らずに地に足をつけて、ラリーを組み立てられれば、結果がついてくると思っています。全力を尽くして優勝を目指していきたい」 この記事の写真を見る
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