フィギュアスケートの全日本ジュニア選手権最終日は17日、広島市のひろしんビッグウェーブで女子フリーがあり、前日のショートプログラム(SP)で首位発進した島田麻央選手(木下グループ)が128・63点、合計201・32点で優勝し、大会史上初となる4連覇を達成した。
表彰式で笑顔こそ見せたが、心中は複雑だった。「4連覇はうれしいんですけど……。練習の成果が出なくて悔しい気持ちです」。挑戦と位置づける4回転トーループの転倒はともかく、その他のジャンプでも回転不足や着氷の乱れが出たことへの思いからだった。
この日午前からあった公式練習では4回転トーループの成功はなく、曲をかけた練習ではトリプルアクセル(3回転半ジャンプ)をはじめ、複数のジャンプが決まらなかった。好調とは言えない状態に「本当に落ち込んで大丈夫かなと思った」と島田選手。だが、昼寝を挟み「朝の練習は前日だと切り替えたのがつながった」と一度、感覚をリセットして臨んだ。冒頭のトリプルアクセルをしっかりと決め、ミスがありながらも演技をまとめた。
2年前のルール変更によりシニアデビューの年齢が15歳から17歳へ段階的に引き上げられているため、現在16歳の島田選手は2026年ミラノ・コルティナダンペッツォ冬季オリンピックへの出場資格はなく、来季もジュニアが主戦場となる。全日本ジュニア5連覇にも期待が高まるが「私は結果というよりは、自分が満足する演技をすることが目標」と気にするそぶりはない。
次戦は3連覇が懸かるジュニアグランプリ(GP)ファイナル。国際大会もいまだ無敗だが、「この悔しさを味わえて良かったと思えるように、ファイナルでは演技できたら」。新時代のヒロインは、最後まで力強かった。【倉沢仁志】
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