特集は世界一に輝いた小学6年の女の子です。長野上田市の沼田佳恭さんは、この夏、芝生の斜面を滑る「グラススキー」の世界大会で、みごと優勝。けがを克服しての快挙です。将来の夢は冬のアルペンスキーでのオリンピック出場です。


■世界大会U12で3冠

10月20日、飯山市・斑尾高原スキー場。

ぐんぐんとスピードに乗り、斜面を滑走。キャタピラベルトがついた板で滑る「グラススキー」。

アルペンスキーの夏場のトレーニング用に開発されたもので日本でも普及しています。


グラススキーの練習に励むのは上田市の小学6年生・沼田佳恭さん(11)です。

沼田佳恭さん(11):
「(怖くないの?)前まで怖かったけど、もう慣れました、でも、スタートに行くと、ちょっと怖いけど、滑っちゃえばもう大丈夫です」

競技を始めて4年目。この夏、沼田さんは快挙を成し遂げました。

8月、チェコで開催されたグラススキーの世界大会。沼田さんはU12のクラスで3種目に出場。ヨーロッパの強豪選手を抑えて、みごと三冠に輝いたのです。

沼田佳恭さん:
「すごくうれしかったですし、全部1位とれて良かったな、練習したかいがあったなと」

快挙は大けがを克服してのもの。喜びもひとしおです。


■1歳のころからスキー

沼田さんは1歳のころからスキーに親しんできました。教えたのは父・祐希さんです。

父・祐希さん:
「趣味でスキーをやっていたので、子どもに何かスポーツやらせたいなというのがあり、最初は、小さかったので、あんまり認識はしてなかったと思うんですけど」

小学1年から地元のチームに入り、アルペンスキーに本格的に取り組むようになりました。

グラススキーもオフシーズンのトレーニングとして取り入れます。

沼田佳恭さん:
「夏、練習できるところないかなと探したら、飛鳥井コーチがグラススキーをやっていたので、それで(チームに)入りました。『なにこれ、超むずい』と思いました」


グラススキーは横滑りしないため、ターンがアルペンスキーと異なりますが、沼田さんは小学3年から現在のチームに移って冬はアルペンスキー、夏はグラススキーに打ち込みます。


■左ひざ・剥離骨折の大けが

するとー

アルペンスキーでは、県スキー連盟のシーズン戦で優勝。グラススキーでも世界大会で表彰台に登るなど活躍を見せるようになりました。

しかしー

沼田佳恭さん:
「何ターンか前から、全然うまくいかなくて、転んだ時に『うわ最悪だ』と」

2023年の冬、シーズン直前に参加したオーストリアでの遠征中に転倒。左ひざ・剥離骨折の大けがを負い、手術を受けました。


昨シーズンは、大会出場を全て見送りリハビリに専念。

沼田佳恭さん:
「ずっとくよくよしていてもしょうがないから、治すことを頑張ろうと思いました」


■世界大会に照準を合わせて練習

リハビリのかいがあって2024年3月に復帰。グラススキーの世界大会に照準を合わせて、練習を重ねてきました。

そして、迎えた世界大会。こちらは「ジムカーナ」。ポールを通過するだけでなくゲートをくぐったり、段差をジャンプで越えたりと障害をクリアしていく要素を含む種目です。

復帰戦となった世界大会はスラローム、ジャイアントスラローム、ジムカーナの3種目に出場し、みごと、全てで優勝を成し遂げました。

父・祐希さん:
「一番近くで見てましたので、努力していたのも分かっているので、けがしたというのもあったので、その中で結果を残せたというのは、親としてはほっとして良かったなと」


■目標はジュニアオリンピック優勝

10月17日

観光スポーツ部長:
「1位になった時はどんな気持ちだった?」

沼田佳恭さん:
「去年はスラロームしか1位取れなかったのでうれしかったです」

県庁を訪れ、観光スポーツ部長に「三冠」を報告。


雪が降るまでの間はグラススキーの練習。

すでに次の目標を定めています。

沼田佳恭さん(11):
「3月にジュニアオリンピックがあるので、そこで優勝できるように頑張りたいです」

2025年3月、地元・上田市菅平で開かれるジュニアオリンピック。アルペンスキーでも優勝するのが目標です。

■夢はアルペンで五輪「金メダル」

沼田さんの成長ぶりに、小学3年から指導する飛鳥井匠哉コーチは。

飛鳥井匠哉コーチ:
「苦しい時は苦しいし、弱音を吐いたりとか、顔に出ちゃったりとかするんですが、それでも絶対に練習は休まないし、必ず最後までついてきます。レースの前になって、自分はこれだけやったんだと、そういったものが誇れる。そういったところがうまくいって、好成績にもつながっているんじゃないかと」


大けがを乗り越え大きな成果を挙げた沼田さん。

期待の11歳に将来の夢を聞きました。

沼田佳恭さん(11):
「オリンピック(アルペンスキー)で優勝したいです。小さい時から大会に出て1位になっている人がかっこいいなと思っていたので、他の人にかっこいいなと思ってもらえるように頑張っています」

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