九州実業団毎日駅伝競走大会(3日、大分・佐伯中央病院陸上競技場発着)
仲間とハイタッチすると、旭化成のアンカー、相沢晃はトラックにあおむけになって転がった。トラックでの壮絶なスパート合戦を制しての1秒差の勝利に、西村功監督は「ドキドキ、ハラハラした」と興奮が収まらなかった。
5区の途中から、3連覇を狙う黒崎播磨との並走になり、そのまま最終7区に入った。2021年の東京オリンピック1万メートル代表で、27分13秒04の好記録を持つ相沢は「トラック勝負じゃないと振り切れないと思っていた」と冷静だった。
10キロを過ぎてからは黒崎播磨のアンカーの福谷颯太に離されないことだけに意識を向けると、トラックでの最終カーブで少し差を広げられたが、残り100メートルを全力疾走。「ロードレースであんなにダッシュしたことはなかった」と語るスピードでフィニッシュ直前に福谷をかわした。
チームは決して万全な状況ではなかった。パリ五輪1万メートル代表の葛西潤はけがの影響もあって、補欠に回った。相沢も調子は上向きでなく、エース区間の2区や5区を担うことはなくアンカーに配置された。
それでも前回のニューイヤー駅伝に初出場し、今回は5区を任された26歳の斎藤椋が区間賞の走りを見せるなど、選手層の厚さを示した。
「常勝チームと言われている。旭化成は優勝しないといけない宿命」と西村監督。ニューイヤー駅伝で歴代最多25回の優勝を誇る強豪チームが5年ぶりの駅伝日本一に向かって突き進んでいく。【藤田健志】
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