2カ月間に15試合――。息つく暇なく訪れる大一番の連続に、たまった不満が噴出した。サッカー・J1横浜F・マリノスのジョン・ハッチンソン監督は10月30日、横浜・日産スタジアムでの浦和レッズ戦後の記者会見で「試合の振り返りを言わせていただく前に……」と厳しい口調で切り出した。
横浜マにとって、浦和戦は15連戦の最終戦。2―3で惜敗した27日の天皇杯全日本選手権準決勝、ガンバ大阪戦から中2日と、心身ともにリフレッシュすることもできずに迎えた一戦だった。
「日曜日(27日)に悔しい敗戦をしても、この試合に臨むために月曜から選手を引っ張り出し練習をしなければならなかった」
開始直後に負傷者が出て選手交代を強いられるなど苦しい展開が続く中で、何とか0―0の引き分けに持ち込んだ。試合終了の笛が鳴ると、ピッチに倒れ込む選手の姿も見られた。
そんな選手たちの姿に、ハッチンソン監督はせきを切ったように会見で話し出した。
「このスケジュールを、なぜコントロールしていただけないのか。J1で成績を残しているチームに対して、なぜ、我々が水曜(30日)に戦わなければならないのか。金曜でも土曜でも良かったのではないかと思う」
今季の横浜マはアジア・チャンピオンズリーグ・エリート(ACLE)への参戦に加えて、YBCルヴァン・カップと天皇杯でともに4強入り。中2日、中3日での連戦が続くことが常態化し、好成績を残したがゆえに日程が詰まっていくジレンマを味わった。
特に27日のガ大阪戦はアウェーで延長までもつれる激戦となり、体力と神経をすり減らした。ハッチンソン監督は「天皇杯準決勝で120分戦った選手もいる。38歳の飯倉(大樹選手)は(ガ大阪戦と浦和戦を合わせて)200分以上戦っている。安全に選手にいいパフォーマンスをさせようと考えるのであれば、配慮していただいてもいいのではないかと思います」と強調した。
過密日程を巡っては今季、9月8日から14日にかけてルヴァン杯準々決勝、天皇杯準々決勝、J1と全て中2日で戦ったサンフレッチェ広島のミヒャエル・スキッベ監督も疑問を投げかけるなど、一部クラブに重くのしかかっている。
ハッチンソン監督の訴えも全ては選手と日本サッカー界の将来を思ってのこと。「ピッチの選手を見て誇りに思うし、この厳しいスケジュールの中、諦めるのではなく勝ちにいく姿勢はたたえるものがある。一人一人が本当に戦っている」と痛切な思いを吐露した。【角田直哉】
横浜マの9、10月の日程と戦績
試合日 大会名 相手 場所 結果
9月4日 ル杯準々決勝 札幌 H 6○1
8日 ル杯準々決勝 札幌 A 1●3
13日 J1 京都 H 1●2
17日 ACLE 光州 A 3●7
22日 J1 広島 A 2●6
25日 天皇杯準々決勝 山口 H 5○1
28日 J1 FC東京 H 1●3
10月2日 ACLE 蔚山 H 4○0
5日 J1 柏 A 0●1
9日 ル杯準決勝 名古屋 H 1●3
13日 ル杯準決勝 名古屋 A 2○1
18日 J1 新潟 H 0△0
22日 ACLE 山東 A 2△2
27日 天皇杯準決勝 ガ大阪 A 2●3
30日 J1 浦和 H 0△0
※ル杯=YBCルヴァン・カップ、ACLE=アジア・チャンピオンズリーグ・エリート、天皇杯=天皇杯全日本選手権、H=ホーム、A=アウェー
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