サッカーJ1のFC町田ゼルビアは、19日の柏戦を引き分けで終えた。まだ射程圏内にある優勝に向け、残留の当落線上にいる格下相手には痛恨の結果。ただ、明るい材料もあった。ベテランの下田北斗(32)が試合終了間際に見せた強心臓だ。
柏-町田 後半、町田・下田がPKを決め同点に追い付く=19日、三協F柏で(平野皓士朗撮影)
◆相手GKに自分の情報が入った?
0-1のまま後半45分を経て追加タイムへ。味方が誘った反則で得たPKで、キッカーの大役を担った。外せば負けが濃厚どころか、勝ち点差6で追う頂点の座がさらに遠のく。そんな重圧下でも落ちついていた。「良いコースに、良い速さで」。そう言い聞かせると、フェイントを入れずに左足で右隅に蹴り込み、大歓声を巻き起こした。柏-町田 後半、PKを蹴る前にスタンドを見つめる町田・下田=19日、三協F柏で(平野皓士朗撮影)
緊張をより高める要素もあった。PK直前、ファウルがあったかどうかの確認でプレーがストップ。その間、ベンチに戻って携帯端末をのぞき込む柏のGK松本の姿が視界に入った。「情報が入ったのかも」。自身のキックの傾向をあらためてチェックされれば、失敗のリスクは増す。◆冷静なプレーでチャンスをつくる
それでも、気持ちは揺れない。もう一つ見つめたのは、目の前の客席で勝利を信じる町田のサポーター。「僕のタオルマフラーを掲げてくれている人もいた」。ホームの柏側からの松本コールが分厚く響く中、わずかに届く声援を力に、一球勝負を制した。柏-町田 後半、柏のフロート(左)に倒されPKを得る町田・藤本=19日、三協F柏で(平野皓士朗撮影)
後半38分から途中出場し、終盤の猛攻に加勢した。「相手が僕を捕まえられていない」と、マークが付かないことを冷静に見極めて空いたスペースに次々と侵入。PKを得た場面も、倒された藤本にパスを送ったのが下田だった。 「まだ優勝のチャンスはある。僕たちらしくしぶとくやっていく」。川崎で2度のJ1制覇を経験している32歳が、ラストスパートを支える。(加藤健太) 鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。