真希バオーのウマ女十番勝負

 3冠馬を除けば、ダービーの勝ち馬による菊花賞優勝は珍しい。今年のダービー馬ダノンデサイルは、1973年タケホープ以来51年ぶりのダービー&菊花賞の「2冠」制覇に挑みます。

 毎日新聞デジタル報道グループの“真希バオー”こと中嶋真希記者が、下半期GⅠシリーズの主要レース6戦を予想します。
 第2弾は、牡馬クラシック3冠最終戦の菊花賞(京都3000メートル、20日午後3時40分発走)です。 

 秋華賞で「クラッシュギャルズ馬券」が的中した真希バオーは、「5G馬券」で勝負。競馬担当30年の師匠、松沢一憲記者も「トライアルで『Vライン』を刻んだ馬がいるぞ」と気合十分です。

ダノンデサイルに死角あり?

 「今年の菊花賞は、5G(第5世代移動通信システム)ならぬ、“5爺”の競演が見ものですね」と真希バオー。「なんだそりゃ?」と師匠はけげんな表情を浮かべた。

有馬記念を制し、表彰式で笑顔を見せる武豊騎手=千葉県船橋市の中山競馬場で2023年12月24日、三浦研吾撮影

 「以前、武豊騎手がテレビ番組で、柴田善臣、横山典弘、小牧太、熊沢重文、そして武豊の50代騎手5人が、5Gならぬ“5爺”と呼ばれていると語っていたんです。小牧騎手は古巣の園田へ戻り、熊沢騎手は引退。残ったオリジナルメンバー3人が、そろって菊花賞で騎乗します。目が離せないですよ」と真希バオーは興奮ぎみだ。

 今年の日本ダービーは、皐月賞で無念の除外となったダノンデサイルが、56歳横山騎手のエスコートで勝利。横山騎手は、JRAのGⅠ史上最年長制覇となった。

 「ダービーは人気薄で、気楽な立場で走れたのが大きいよな。次はマークされ、厳しいレースになるだろう。それに、ダービーから直行するよりも、秋に2200メートルのトライアルを使ってマラソンレースに備えるローテが理想なんだ」と師匠は指摘する。

 「過去10年で連対した20頭のうち、15頭がトライアル組。神戸新聞杯(阪神2400メートル、20~22年と24年は中京2200メートル)組が5勝、セントライト記念(中山2200メートル)組は3勝している」と師匠が言うと、「そういえば、キタサンブラックは、ダービーは14着と大敗。セントライト記念を勝って、15年菊花賞を勝ちましたね」と真希バオー。

 ダービーでダノンデサイルに負けた馬たちにも、逆転のチャンスがありそうだ。

松沢記者の本命は……

 ◎メリオーレム(14)、○アーバンシック(13)、▲メイショウタバル(10)、△ショウナンラプンタ(11)、△コスモキュランダ(9)、△ダノンデサイル(4)

 師匠は、メリオーレムを本命に推す。「前走神戸新聞杯はスパッと切れる脚がなく、1番人気に応えられず5着。しかし、長くいい脚を使えるスタミナがある。このレースで、Vラインを刻んでいたのも好材料だ」と師匠。

 Vラインとは、「レース中に一旦位置取りを下げて盛り返した馬は、3走以内に必ず激走する」という師匠独自の攻略法だ。

 「デビュー時から2000メートル以上のレースを使ってきた。2走前の西部スポニチ賞(小倉2600メートル)では、4馬身差の快勝。実績では一歩譲っても、長距離適性は抜群だな。神戸新聞杯のリベンジを果たし、淀のターフで菊の大輪を咲かすぞ」

真希バオーの大胆予想

 馬連5頭ボックス(10点×100円=1000円)

 (1)ピースワンデュック

 (4)ダノンデサイル

 (9)コスモキュランダ

 (10)メイショウタバル

 (13)アーバンシック

 鋭い脚でセントライト記念を制したアーバンシックなど、夏を越えて成長したトライアル組は、確かに強そうだ。しかし、人気を集めそうで、馬券妙味に欠けるんだよなあ。

 それなら、まだ底を見せていない上がり馬も狙いたい。JRA現役最年長58歳の柴田騎手が騎乗するのは、目下3連勝中のピースワンデュックだ。

 デビューは今年3月と遅かったため、春のクラシックには間に合わなかった。新馬戦(中京2000メートル)は鼻差2着に敗れたが、未勝利戦、1勝クラスと順当に勝ち上がり、前走阿賀野川特別(2勝クラス、新潟2200メートル)は、直線、メンバー最速の上がりで激しい競り合いを制した。

2023年の菊花賞を制したドゥレッツァ=JRA提供

 阿賀野川特別の勝ち馬は、17年にポポカテペトル(13番人気)、18年にユーキャンスマイル(10番人気)が人気薄で3着に入っている。昨年も、リビアングラスが9番人気で4着と健闘した。菊花賞と相性がいいレースなのだ。柴田騎手は「心臓の強い馬で、距離が延びても問題ない」とコメント。

 55歳の武騎手もアドマイヤテラに騎乗する。若駒と“5爺”ジョッキーたちの激走に期待したい。

真希バオーの勝負レース

 秋華賞→的中 馬連2200円

 菊花賞

 天皇賞・秋

 エリザベス女王杯

 ジャパンカップ

 有馬記念

なかじま・まき

 毎日新聞デジタル報道グループ記者。業務の傍ら、学生時代から興味があった競馬を本格的に勉強しようと、2014年、競馬担当の松沢一憲記者に勝手に弟子入り。得意技は、パドックで激走する穴馬を見つけること。皐月賞馬イスラボニータが大好きで、産駒の応援に励んでいる。

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