来春のセンバツ出場校を決める際の重要な参考資料になる第155回九州地区高校野球福岡大会で、育徳館(福岡県みやこ町)と修猷館(福岡市)の県立2校が4強入りし、九州大会出場まであと1勝に迫っている。ともに藩校を源流に持つ伝統校だけに、初の甲子園出場に向け関係者の期待も高まっている。
小倉藩校を起源とする育徳館は1758(宝暦8)年の開校で、県内の高校で最古の歴史を持つ。修猷館は1784(天明4)年に福岡藩の藩校として創立され、言わずと知れた県内屈指の進学校だ。
育徳館は野球部の歴史も古く、1899年に野球と庭球を兼ねた「野外運動部」として創部された。郷土史研究者で育徳館元校長の小正路淑泰(としやす)さん(62)によると、同校の前身・豊津尋常中時代の1891年、米国人教師、エルマー・E・ハッバードがバットとボールを持ち込み、生徒たちに野球を教えた。これが九州での中等学校野球の起源とされる。
育徳館は2011年秋の福岡大会でも4強に進出したが、惜しくも九州大会出場を逃した。「文武両道を実践している」(県高野連)などと評価され、21世紀枠の県推薦校に選ばれたものの、センバツ出場はかなわなかった。福岡大会での4強入りはその時以来となる。
新チームの躍進について、野球部関係者は「低反発バットが導入され、投手優位の傾向が出ている。現在のバッテリーは昨年からのコンビで息が合っている」と話す。今大会は1試合の平均失点が1と抜群の安定感を誇る。
一方、修猷館野球部は1895年の創部で、県内最古と言われる。3回戦で強豪の九産大九産に競り勝った勢いそのままに、09年夏以来となる福岡大会4強入りを決めた。
準決勝は12日に久留米市野球場であり、育徳館は東福岡と、修猷館は夏の福岡大会覇者の西短大付とそれぞれ激突する。上位2校は26日から大分県で開かれる九州大会に出場する。【松本昌樹】
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