剣道の大学日本一を決める「第72回全日本学生剣道優勝大会」(毎日新聞社、全日本学生剣道連盟主催)は14日、Asueアリーナ大阪(大阪市)で開かれる。前回大会で30年ぶりの日本一を達成した法政大は、今年も優勝候補に名を連ねる。【中村有花】
「日本一以外は考えていない」
1919年創部で1世紀を超える歴史を持つ法政大剣道部。今大会で狙うのは、大学としてまだ一度も成し遂げていない連覇だ。主将の鈴木龍哉選手(九州学院)は「日本一以外は考えていない」と鋭いまなざしを向ける。
昨年はそれほど前評判は高くなかった。全日本の予選を兼ねた関東学生優勝大会もベスト8にとどまった。だが、迎えた全日本では準決勝で優勝候補だった筑波大に勝利。勝ち数、本数ともに同数で迎えた大将戦を主将の阿比留宏貴選手が制して決勝に進むと、勢いそのままに日体大に快勝し、頂点へ駆け上がった。
法政大の強みは、阿比留さんが抜けた今年も優勝を経験したメンバーの多くが残っていること。中心となるのが鈴木選手、矢野将利選手(福岡大大濠)、三宅涼介選手(龍谷)の最上級生トリオだ。ともに九州の強豪校出身で高校時代からしのぎを削った間柄。さかのぼれば小学生の頃から竹刀を交えた経験もあるという。
「良きライバルであり、とても信頼できる仲間。自分を信じて試合に行くが、それ以上に2人には信頼を置いて剣道ができる。仲間でいてくれて心強い」と鈴木選手が言えば、矢野選手も「本当に刺激し合える存在。常に一緒にいるから、何も言わなくても何を考えているか分かる」。三宅選手も「一緒に練習していても意識がみんなとは違う。同級生だが本当に憧れる選手でいつも2人から学ぶことがある」とたたえ合う。卒業後も母校の稽古(けいこ)に足を運び、後輩たちに接する阿比留さんは「性格は違うが、共通するのは自分に厳しいところ。稽古も一番取り組んでいる。行動でも言葉でも示せる3人だなと感じます」と評する。
関東でなめた苦杯、大きな糧に
今年の関東大会は、決勝で筑波大に苦杯をなめた。それでも、法政大にとってこの敗戦は日本一に向けての大きな糧だ。
決勝後、会場の隅で涙する三宅選手に、矢野選手が寄り添う場面があった。矢野選手は「自分自身もめちゃくちゃ悔しいが、自分たちの最終目標は日本一。全日本で勝たなければ意味がない。(三宅選手には)『日本一は全日本でしか取れないから、そこに向けて頑張ろう』と声を掛けました」と振り返る。
「最後に気持ちや細かい部分でぼろが出てしまった。小さいところの積み重ねを大事にして全日本まで稽古に励んでいきたい」と鈴木選手。「受けて立つ」気はさらさらない。再びチャレンジャーとして日本一をつかみにいく。
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