東京ヤクルトスワローズのファンクラブ入会サイトが2週間以上、システムメンテナンスを理由に受け付けを停止している。球団営業部は「調査中でお答えできない」と詳細を明かしていないが、近年はダイナミックプライシング(変動価格制)の導入もあってチケット争奪戦が激化。ファンクラブ特典を求めてライバル球団のファンも入会する動きがあり、多くの人たちをやきもきさせている。
阪神タイガースのファン歴が40年近い東京都杉並区の男性会社員(54)は毎年、スワローズのファンクラブに入会している。スワローズの本拠地・神宮球場で行われる阪神戦のチケットを、初期設定の一般販売価格より500円安いファンクラブ価格で購入するのが目当てだ。
ダイナミックプライシングの導入もあって、初期設定が2400~4100円の外野指定席(大人)が、人気の対戦では2倍以上に跳ね上がることもある。そうした試合は、ライバル球団のファンクラブ向け先行販売という「裏技」に望みを託すのだという。
2025年シーズンも、会員特典の多いプラチナ会員(年会費1万4000円)になろうと、9月17日の受付開始日を待ち構えていたが、入会サイトがその日にダウン。受け付け再開には時間がかかりそうなものの、男性は「会員の枠が埋まってしまわないか心配で、数日おきにチェックしている」と話す。
システムダウンの原因について、X(ツイッター)では「ビジターファンの方が大勢いるような気も」と、他球団ファンの殺到を指摘する見方も出ていた。
ライバル球団のファンクラブに入るのは、少しでも安く、少しでも早くチケットを入手したいという涙ぐましいファン心理からだ。
「プロ野球のサービスに関する満足度調査」を09年から毎年実施している慶応大の鈴木秀男教授(57)は、ファンの行動に理解を示しつつも、「ホームチームのファンに不利益が生じてはならない」と話す。ホームとビジターのファンのすみ分けを図るため、「ビジター用のファンクラブのようなものがあっても良いのではないか」と提案している。【後藤豪】
鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。