大関昇進の伝達式後、記者会見する大の里(左)と二所ノ関親方=茨城県阿見町の二所ノ関部屋で2024年9月25日午前10時38分、長谷川直亮撮影

大相撲九州場所番付編成会議(25日)

大の里=大関昇進

 「大関の名を汚さぬよう、精進します」。大の里の師匠、二所ノ関親方(元横綱・稀勢の里)が2011年11月に大関に昇進した際の口上だ。25日、大の里は「大関の『地位』を汚さぬよう……」までは、師匠とほぼ同じ。その後に盛り込んだ「唯一無二の力士」という言葉に、かけがえのない存在への思いがにじんでいた。

大関昇進の伝達式後、笑顔で写真に納まる大の里(上)=茨城県阿見町の二所ノ関部屋で2024年9月25日午前11時8分、長谷川直亮撮影

 周囲と相談しているうちに、小学生時代に相撲を指導してくれた父・中村知幸さん(48)が口にしていたフレーズが頭をよぎったのだという。「唯一無二になってくれ」。その口上に誰よりも驚いたのが、伝達式に駆けつけた知幸さんだった。「取材で(大の里のことを)聞かれたとき、ことあるごとに使っていた言葉だったけど、本人に対しては言ったことがなかった。まさかって感じです」

 小学1年で相撲を始めた大の里に、地元・石川県津幡町の教室で相撲の手ほどきをしたのが、社会人になっても相撲を続けていた知幸さんだった。親子での生活は、小学校卒業まで。大の里は中学から新潟県糸魚川市に「相撲留学」した。

 しかし、心はいつでもつながっていた。

 大切な日に、予期せぬ形で感謝の気持ちを表した息子。知幸さんは「親孝行ですね。12年間だけ一緒に過ごし、そこから実家を出て生活をして……。家族思いです」と笑みがこぼれた。

 「遠い存在になったかもしれないけど、人なつっこいところは昔から変わらない。『壁』はないんじゃないかな。(自分の中では本名の)泰輝のまんまなので」。強く、愛されるお相撲さんに。それが父の思う「唯一無二」の力士像だ。【岩壁峻】

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