元大リーグ投手の村上雅則さん=東京都内で2021年7月10日、中村有花撮影

 米大リーグ・ドジャースの大谷翔平選手が前人未到の「50―50」(50本塁打、50盗塁)を達成したことについて、日本人初の大リーガーの村上雅則さん(80)は「考えられないこと。自分の孫なら良かったな」と驚きの声を上げた。

 自身はプロ野球の南海(現ソフトバンク)から米国に野球留学し、ジャイアンツで大リーグデビューした1964年当時は、肌の色を理由とした差別的な呼ばれ方をしたこともあった。デビュー当日の様子を伝える現地の新聞では、日本人に対する蔑称の「JAP(ジャップ)」という言葉も普通に使われていた。「日本人が今や米国の英雄。すごすぎて、次に会っても話しかけにくいぐらい。信じられない世の中になった」と当時との違いに感慨深げだ。

 大谷選手は19日の試合で10打点を挙げて今季120打点としたことで、ヤンキースで松井秀喜さんが2005年に記録した日本選手のシーズン最多打点の116も超えた。次はマリナーズでイチローさんが01年にマークした日本選手のシーズン最多56盗塁の記録が迫る。「この際、どんどん他の記録も更新してほしいね」と期待を込める。

マーリンズ戦の七回、2点本塁打を放つドジャース・大谷。「50本塁打・50盗塁」を達成した=米マイアミで2024年9月19日、AP

 村上さんが驚くのは、今でも肉体的な成長を続けているように見えることだ。「日ごろの努力がすごい」とたたえる。

 今年は自身の大リーグデビューから60周年の節目の年で、5月には古巣の本拠地サンフランシスコで始球式を務めた。また、フランスのメディアから取材の依頼が来ているという。「大谷選手の活躍があったからこそだと思う。日米だけでなく欧州、世界中での野球普及、振興につながってほしい」と話した。【岸本悠】

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