◆サッカーWEリーグ「WEのプロ魂」㊤
 日本女子プロサッカーリーグとして、4季目の2024~25年シーズンを迎えるWEリーグ。9月14、15日にリーグ戦の開幕節を迎える選手たちは自身を鍛え、魅力ある舞台をつくろうとする。その姿を紹介します。

◆けがはファウル受けたせいだけじゃなかった

 そこまで突き詰めるのかと、気付かせてくれた出来事がある。サッカー女子のWEリーグで3連覇を目指す三菱重工浦和の右サイドバック、DF遠藤優(26)が振り返るのは、2022〜23年シーズンの後半、昨年3月に、もも裏を傷めて療養していた時期。けがに至る場面を映像で見直していたときだ。

練習でボールを追う三菱重工浦和の遠藤(右)=さいたま市内で(クラブ提供)

 一緒に見てくれた先輩から言われたのは「耐えるには、まだ弱い筋肉だったようだね」。その年のリーグ最優秀選手に選ばれた元日本代表の安藤梢(42)だ。背後から押され倒れないよう、脚の力で耐えたことで1カ月半の離脱となっていた遠藤は「脚だけでなくお尻とか上半身で耐えていれば、とも言われた。自分としてはファウル(を受けてのけが)だから仕方ないと思っていたけど」。  脚を支える臀部(でんぶ)や体の軸となる体幹まで鍛え直した成果が、昨季23〜24年のリーグ戦全22試合先発という活躍だ。豊富な運動量で初のベストイレブンにも選ばれた。下部組織時代から「体づくりは無知だったし、教えてくれる人もいなかった」が、今はコーチと相談しながら「ここまでやるときつい」という限界も知って日常を見直し、民間のジムも自費で通う。

◆「次を見据えてどのくらい自分にお金を掛けるか」

 「体のメンテナンスは自分でプラスアルファし、それによってけがなくシーズンを駆け抜ければ次の年俸も上がる。次を見据えどのくらい自分にお金を掛けるか」とプロ魂を追求し「プロ化して(練習以外の)時間ができ、いかに自分への投資に使うか」。

自身のネイルもきらびやかに、ネイリストとしての資格を持つ遠藤=さいたま市内で

 遠藤はネイリストの資格も持つ。選手は個人事業主であり、サッカーに軸足がある現状では「(ネイルは)下積みですね」と笑うが、「(リーグ全体で)自分の好きを出していけばいい」。意外な横顔からもファンの拡大を願う。(上條憲也) 

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