特集は中学生力士の挑戦です。長野県飯田市の相撲クラブに所属する寺西蓮さんは中学卒業後、相撲部屋への入門が決まっている期待の選手。この夏、「中学生横綱」を目指して全国大会に出場しました。
■相撲大会出場の中学生は
激しくぶつかり合う中学生力士。8月17日、富山県で「全国中学校相撲選手権大会」が開かれました。
この「全中」は特別な大会。個人戦の覇者には「中学生横綱」の称号が与えられるのです。
アナウンス:
「東 長野県松尾相撲クラブ 寺西さん」
長野県大会を制した飯田市の寺西蓮さん(緑ヶ丘中3年・15)も中学生横綱を目指して出場しました。
中学卒業後は相撲部屋に入ることが、すでに決まっている期待の選手です。
■小学4年生から相撲を始める
寺西さんが相撲を始めたのは小学4年生の時。
松尾相撲クラブ・寺西蓮さん(15):
「小さい時にわんぱく相撲大会で自分より小さい子に負けちゃったので、それで悔しかったから相撲を始めました」
地元の松尾相撲クラブに入り、稽古に励んできました。
寺西蓮さん:
「最初は大変だったけど、礼儀とか。でも、慣れてくうちに相撲が楽しくなってテレビでも大相撲とか見始めるようになりました。相撲は勝ち負けが早い競技だけど、その一瞬の勝負で自分の本気を出せるので、そこが楽しいなと思う」
■「自主練」と「食事」で体大きく
負けず嫌いの寺西さん。
自宅でも「自主練」に励み食べて、体を大きくすることを心掛けてきました。
寺西蓮さん:
「(相撲を)始めたころは60キロぐらいしかなかったけど、いっぱいご飯を食べて運動して寝ることが大切でそれを毎日やってたら大きくなりました」
■県大会では重量級で連覇
体重と共に実力もついていきました。100キロを超えた中学2年の県大会では重量級で優勝。130キロになった今年は連覇を達成し、全中出場者決定戦でも優勝しました。
基礎を教え込んできたクラブの清水里香監督はー。
松尾相撲クラブ・清水里香監督:
「こんなに強い、こんなすごい子になるなんて夢にも思わなかった。体がどんどん大きくなって、才能がどんどん開花していって。彼が大好きな気持ちと一生懸命頑張れる気持ち、そして素直な心がそうさせてると感じます」
■玉ノ井部屋入門が内定
玉ノ井部屋・玉ノ井親方(YouTube「ガガチャンネル」より):
「下手を取る」
玉ノ井部屋での稽古の様子。
実は寺西さん、これまでの成績や体格の良さが元大関・栃東、玉ノ井親方の目に留まり入門がすでに内定しています。
寺西蓮さん:
「(親方が)一回稽古に来てくださった時があって、いろんなアドバイスを受けて、出稽古に行って、皆さん優しくしてくださって、自分もプロに行って頑張りたいなと思ったので。家族のような雰囲気は自分が一番好き、そこが一番なじめたので玉ノ井部屋がいいなと」
■全国大会を前に体調を崩す
8月14日、飯田市―。
「おはようございます」
県大会を制し、いよいよ「全中」へ。この日は最後の稽古でしたがー
寺西蓮さん:
「膀胱炎になっちゃって、熱もおとといまで出て、体調は万全じゃない」
2023年の全中は怪我で出場できなかった寺西さん。最初で最後の大事な全中を前にこの日は軽めの調整に。
一方、仲間たちの期待は高まっていました。
小学6年生・筒井彩翔さん:
「(全中で)優勝目指してほしいです」
中学2年生・金田美緒さん:
「優勝して松尾相撲クラブを宣伝してほしい」
クラブOB・埼玉栄高校2年・松村寛太さん:
「体を活かして相撲をとっていければ強いと思う。精いっぱい、力を出して一個でも勝ってくれればいいかな」
■元力士の食堂で壮行会
午後7時すぎ、満津田食堂―。
「いただきます」
稽古の後は壮行会を兼ねた食事会。
体は本調子ではありませんでしたが寺西さんは「カツ丼」と「鉄火丼」を平らげました。
寺西蓮さん:
「(カツ丼じゃ足りなかった?)ちょっと足りなかった」
ここ満津田食堂の6代目は今年の夏場所まで大相撲で活躍していた元力士の松田誉彦さん。胸を貸したことのある松田さんも期待を寄せています。
満津田食堂・6代目・松田誉彦さん:
「体も大きくてなおかつ柔らかいので、とてもいいバネを持ってる。飯田からお相撲さんが出るのはうれしい。頑張ってほしいなって気持ちでいっぱい。(玉ノ井部屋は)お相撲さんがとても多い、なおかつ仲がいい。強い人もいっぱいいるので、すごいもんでくれると思う」
松田誉彦さん:
「頑張ってね」
■迎えた本番 緊張
8月17日、富山・射水市・新湊アイシン軽金属スポーツセンター。
第54回全国中学校相撲選手権大会。
迎えた本番。
寺西蓮さん:
「バッチリです、大丈夫です。勝ち負け関係なく、とりあえず楽しんでやることを意識して頑張ります」
言葉と裏腹にー。
松尾相撲クラブ・清水里香監督:
「緊張どんどん増してきちゃいましたね、やばいですね。汗があんまりかいてなくて、いつもだったら倍はかいてる」
■予選1回戦はー
個人戦の初日は「予選」。全国から142人の猛者が出場しました。
アナウンス:
「東 長野県松尾相撲クラブ 寺西さん」
1回戦の相手は東京都の小松竜道場の牧鷹山さん。
父・一樹さん:
「蓮、しっかり」
家族も応援に駆け付けました。
初戦に勝って弾みをつけたいところでしたが、寄り切られ初戦を落としました。
松尾相撲クラブ・清水監督:
「体、動いてないよ。とにかくバチンと当たること。当たって差したら前行かなきゃ」
■予選勝ち抜けるか?
予選の対戦は3回。2回勝たないと翌日の決勝トーナメントには進めません。後がなくなりました。
個人戦2回戦 (東) 寺西蓮さんー藤本元気さん(北海道・西野中)(西)
「はっけよい」
前に出ることを意識。
「上手投げ」で勝利。
個人戦3回戦 (東) 寺西蓮さんー斉藤甲虎さん(京都府・大原野中)(西)
「はっけよい」
「寄り倒し」で勝利。
寺西蓮さん:
「したっ」
松尾相撲クラブ・清水里香監督:
「頑張った、よかったい。本当よかった、決勝行くよ」
松尾相撲クラブ・寺西蓮さん:
「うれしいです。最後は絶対勝ってやろうという気持ちで前にずっと出ることができたのでよかったです」
■「予選突破」を家族に報告
家族に「予選突破」を報告―。
父・一樹さん:
「明日はきっとかっこいいところを見せてくれると思うので、ねっ?」
蓮さん:
「うん」
父・一樹さん:
「きょうは、ん?って感じでなかなか、明日しっかり緊張せずに、きょうはしっかり食べて寝て、また明日切り替えてしっかり頑張りましょう」
■決勝トーナメント
2日目・決勝トーナメント。
寺西蓮さん:
「自分らしい相撲とって勝ち抜きたい。(目指すところは?)優勝です」
松尾相撲クラブ・清水里香監督:
「いつも通り楽しんで、思いっきり力出してこい。バチンといってこい、頑張るよ」
■リベンジなるか?
いよいよ決勝トーナメント。寺西さんの相手は、なんと、前日の予選で負けている東京の牧さん。
「リベンジ」をかけて臨みます。
決勝トーナメント (東)牧鷹山さんー寺西蓮さん(西)
「はっけよい」
土俵際、粘りを見せましたが寺西さんの「全中」が終わりました。
松尾相撲クラブ・清水里香監督:
「もうちょっとアマチュアのうちに力出してこ」
寺西蓮さん:
「いい当たりはできたけど、一回勝てそうだったけど、自分焦っちゃってダメでした。もっとやれたかなと思います」
■監督は次を見据え「ここから」
今年の「中学生横綱」は熊本の佐藤珀呂汎さん(宇土市立鶴城中)。
長い目で見れば「全中」は通過点。クラブから角界にメンバーを送り出すのは、寺西さんが初めてで清水さんは次を見据えていました。
松尾相撲クラブ・清水里香監督:
「まだ出ようと思えば大会三つくらいある。そういうところでしっかり力出して、自分の相撲を出せるまでもっていかないと大相撲に気楽に送り出せません。ここからですよ、ここから」
父・一樹さんもー
父・一樹さん:
「本人は精いっぱいやったと思うのでこれを糧にして、みんなから愛されるような5年から7年かけて、じっくり体も心も鍛え直して、国民から愛されるような、そんな力士を目指してもらいたい」
■「強くてかっこいい力士に」
相撲の厳しさを改めて感じた夏。
寺西さんはさらに鍛錬を積み強い力士になることを誓いました。
松尾相撲クラブ・寺西蓮さん(15):
「まだ大会あるので、そこに向けて頑張っていきたい。挨拶も礼儀も、強くてかっこいい力士になりたいです」
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