硬式野球のクラブチーム日本一を決める第48回全日本クラブ野球選手権大会(毎日新聞社、日本野球連盟主催)は31日から4日間、栃木、群馬両県の3会場で行われる。静岡県焼津市に本拠を置く焼津マリーンズは、創部から6年で初出場を決めた。強豪が集う大会で、「日ごろの練習の成果を出そう」と意気込んでいる。
焼津マリーンズは2018年、人材確保と野球を続けたい若者の支援を目的に、地元の複数の企業が選手を雇用してチーム運営を支援する「複合企業型クラブ」として設立された。現在は選手27人が建設、物流、食品、メーカーの計5社に分かれて所属している。
設立当初からチームを率いる戸崎秀伸監督(57)は、東海大工高(現・東海大静岡翔洋高)を卒業後、企業チームのスリーボンド(東京都八王子市、1993年に休部)と三菱自動車岡崎(愛知県岡崎市)で内野手としてプレーした。「選手は野球を続けることを目的に入社するが、日々の基本は仕事」と言い切る。職場の「若い戦力」として期待され、仕事に必要な資格の取得に挑戦する選手も多いという。
焼津市営球場などでの全体練習は週2回。各社が協力して選手の終業時刻を早め、午後5時から約4時間行う。選手寮に近接して専用の室内練習場もあり、全体練習以外にもトレーニングできる環境は整っている。
週末は大学やクラブチームとの練習試合を積極的に組んでいる。今季はクラブの強豪、マツゲン箕島硬式野球部(和歌山有田市)や千曲川硬式野球クラブ(長野県小諸市)とも対戦し、力を付けた。7月の全日本クラブ選手権東海地区2次予選では、昨年の本大会で準優勝した矢場とんブースターズ(名古屋市)を2―0で破り、初出場にこぎ着けた。
智弁学園高、福井工大で選抜高校野球や大学選手権に出場した経験を持つ主将の田渕竜臣内野手(25)は「社会人でも、日本一を決める大会に進めた」と喜ぶ。「昨年は東海地区のライバルの矢場とんが準優勝し、『自分たちだって、やれる』との意欲が高まった。気負わず、良い雰囲気を作ることを心掛けて戦う」と力強く話す。
大会は各地区の予選を勝ち上がった16チームによるトーナメントで、優勝チームは秋の日本選手権大会に出場する。焼津マリーンズは31日、栃木市のエイジェックさくら球場で第9回大会(84年)優勝の古豪、全府中野球倶楽部(東京都府中市)との1回戦に臨む。【藤倉聡子】
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