第34回かすみがうらマラソン兼国際ブラインドマラソン(土浦市、かすみがうら市、毎日新聞社、スポーツニッポン新聞社など主催)は21日、茨城県土浦市のJ:COMフィールド土浦を発着点とするコースで開かれ、計1万1651人が出場した。パリ・パラリンピックの国内最終選考レースも兼ねた大会で、ブラインドマラソン男子は堀越信司(ただし)さん(35)=NTT西日本、同女子は道下美里さん(47)=三井住友海上=がそれぞれの部門で優勝し優秀選手に選ばれ、パリへの切符に近付いた。【鈴木美穂、松下英志】
道下さん、練習再開から5カ月で調整
道下さんは3時間4分44秒(大会新記録)で優勝。フィニッシュ直後、報道陣に「苦戦したが目標タイムはクリアした」と喜びの表情を見せた。この日は次第に気温が上昇し、正午には21度を超えた。「序盤から水をかけたが、後半は思ったより伸びなかった」と振り返った。
けがから復帰し、トレーニングを再開したのは2023年12月。走り始めたのも24年1月末ごろからで「急ピッチで仕上げた。その中では上出来」と語り「あとはパリ行きを待つばかり」と大舞台を見据えた。
堀越さん「優勝は絶対」
堀越さんは2時間22分19秒で3度目のV。「2時間23分切りの目標にうまく落とし込めた。パリを見据え(優勝は)絶対との思いがあった」。
パリを想定し「暑さ対策を万全に、ゆっくりでも長く走れるスタミナをつける」と気を引き締めた。
フルマラソンの結果は
フルマラソン男子は昨年に続き、ガンドゥ・ベンジャミンさん(32)=栃木陸協=が2時間16分19秒で頂点に輝いた。17キロ地点から独走し、2位を1分15秒離した。「暑かったが優勝できてうれしい」と語った後、「記録はちょっとダメだった。しっかりとスタミナをつけて頑張る」と反省の弁も述べた。
フルマラソン女子は松村幸栄さん(36)=コモディイイダ=が、2時間42分20秒で優勝した。昨年度の自己記録(2時間39分17秒)に及ばなかったが「最低でも優勝したかったので、2連覇できてうれしい。前半のアップダウンで少しでも余力を持つようにし、苦しくなっても走りきった。たくさんの応援が力になった」と謝意を述べた。
協賛企業もブラインドランナーの伴走で参加
大会に協賛する三菱商事やグループ企業の社員や家族ら16人が今年もブラインドランナーの伴走ボランティアとして参加した。ブラインドランナーと共に走り、方向を伝えたり、障害物を避けたりする役割を果たした。同社のパラスポーツ応援プロジェクト「DREAM AS ONE.」の一環。
東京都在住の宮崎暁男さん(48)は長男の大雅さん(15)と親子で参加し、「初めて伴走した去年から経験を積み、ガイドの仕方がわかってきた。相手のコンディションに合わせて走りきることができ満足している。伴走は思いやりの心を育むにはとてもいい経験だと思う」と話した。
暁男さんが伴走した三上直人さん(41)は男子5キロB1の部で2連覇を達成。「苦手な暑さもあり、完走を目標に楽しんで走るつもりで参加した。宮崎さんが『無理しないでね』と言いながら自分のペースに合わせてうまく伴走してくださったので気持ちよく走れた」と笑顔を見せた。
特産品販売ブースも
霞ケ浦の特産品を販売したり、水質浄化について考えたりするブースも設けられた。日本一の生産量を誇る土浦市産のレンコンなどを扱う「JA水郷つくば」のテントは列ができるほどの人気で、飛ぶように売れていた。
群馬県みどり市からフルマラソン出場のため来訪した椚瀬(くぬぎせ)敦子さん(51)は「昨年出場した際に購入し、霞ケ浦産にハマってしまった。段違いのおいしさ」と話していた。土浦市農林水産課の担当者は「土浦市の名産品であるレンコンを楽しんで。サラダにするのもおすすめ」とPR。
毎日新聞販売店、試読紙配って激励
「頑張ってください」。レース前、毎日新聞販売店でつくる県毎日会(三森由春会長)がJR土浦駅から大会会場のJ:COMフィールド土浦に向かう出場者に試読紙を配り、激励した。
毎日新聞とスポーツニッポンなど4500部が配布された。選手や伴走者が笑顔で受け取り、「良い天気で良かった。最後まで走り抜きたい」と話していた。
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