【神村学園-関東一】四回表神村学園2死二塁、上川床が適時打を放つ=阪神甲子園球場で2024年8月21日、渡部直樹撮影

高校野球・夏の甲子園準決勝(21日)

○関東一(東東京)2―1神村学園(鹿児島)●

 試合終了の瞬間、神村学園の上川床(かみかわとこ)勇希は二塁塁上でしゃがみ込んだ。しばらく立ち上がれず、審判にうながされて整列に向かった。試合後、上川床は「悔しさがこみ上げてきて、力が抜けてしまった」とタオルで涙を拭った。

 3季連続で甲子園に出場している神村学園で、上川床は昨夏からレギュラーを担う。左打者8人が並び、準々決勝までの4試合で43安打をマークした強力打線の象徴とも言える存在だ。

 4番・正林輝大(しょうばやし・こうだい)の中前打をきっかけに作った四回2死二塁の好機で打席に入った。今大会初登板の関東一の右腕・大後武尊の2ボールからの変化球を中前にはじき返し、二塁走者を生還させた。「ベルト付近の球を打とうと思った。バットの先だったが、しっかり振り切れた」。1回戦から5試合連続適時打となる中前打で先制点をたたき出して、チームに勢いをつけた。

 七回に守りのミスが出て勝ち越されても気持ちを切らさず「うしろにつなぐことを考えた」。1点を追う九回1死一塁、関東一のエース右腕・坂井遼(はる)の変化球を右前に運んで、一、二塁の好機を演出した。しかし、チームの勝利には結びつかなかった。

 準決勝の3安打を含め、今大会は11安打7打点と活躍した。右脚の使い方を修正して、上から球を見るようになって調子が上がったという。小田大介監督は「これぐらいの活躍はしてくれると思っていた。本当によくやってくれた」とねぎらった。

 今春のセンバツは投手として甲子園のマウンドも経験した上川床。昨夏に続いて決勝の舞台には届かず、「日本一を狙えるチームだと感じていた。自分たちの野球ができなかった」。この悔しさを今後の野球人生の糧にする。【武藤佳正】

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