夏の甲子園で快進撃を続けた大社(島根)。19日の準々決勝は神村学園(鹿児島)に敗れたが、大社が前回出場した1992年当時の監督だった新田(しんた)均さん(67)は「島根の高校が甲子園で勝つには大社のような野球をすべきだ」と称賛した。
新田さんは現在、島根中央の男子と女子の硬式野球部で統括顧問を務める。大社の試合は今夏の島根大会準々決勝以降全て見てきた。戦い方の特徴を「戦術をきっちりできる。戦術とはバント、盗塁、エンドラン」と説明する。関東や近畿など強豪私学が集まる地域に比べ、島根県は高校数も少なく、大社を含めて公立校が甲子園に出場することは珍しくない。
「島根の代表校が甲子園でガンガン打って7―5で勝つ、なんて難しい。3点以内の終盤勝負。お互いが3イニングで1点ずつを取り合って延長タイブレークで勝つといった展開をできるかどうか」。実際、大社は3回戦までの3試合とも九回まで両チーム3点以内で、2、3回戦は延長戦を制した。
新田さんは監督として甲子園に大社で1回、浜田(島根)で8回出場。浜田を率いた98年夏は和田毅投手(ソフトバンク)を擁して8強入りした。
32年前に大社が出場した当時を「ポテンシャル(素質)の高い選手がおり、土壇場で力を発揮できるように精神力を鍛えた」と振り返り、「今大会のチームもポテンシャルの高い選手がおり、似ている」と話す。
今大会の快進撃について「島根県のどの高校も、こういう野球を目指せば全国で戦えると分かった。参考書、教科書のような戦い方」と、地元に好影響を与えたと評価。大社は107年ぶりの4強入りは逃したが、毎試合、地元から大応援団が駆けつけた。新田さんは「私が目指す野球を見せてくれた」とたたえた。【来住哲司】
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