32年ぶりに夏の甲子園2勝を挙げた西日本短大付(福岡)は17日、京都国際と準々決勝進出をかけた一戦に臨む。試合には西日本短大付OBでプロ野球・日本ハムの新庄剛志監督が阪神甲子園球場(兵庫県西宮市)に駆け付け観戦する予定だ。新庄さんと同期の西村慎太郎監督(52)はこの夏、新庄さんと出場した35年前の夏のリベンジを果たし、ここまで勝ち上がってきた。
7月24日の福岡大会決勝。西日本短大付が5-2で福岡大大濠との試合を制したが、この決勝カードは新庄さんと西村監督が選手だった1989年以来の再戦だった。
当時の新聞記事をたどると、1番・中堅手の新庄さんはサイクルヒットを達成する活躍を見せた。一方、9番・遊撃手だった西村監督は途中交代。監督本人によると、守備中にイレギュラーしたボールが首にあたり三回に救急搬送された。チームは4―6で敗れ、あと一歩で甲子園を逃していた。
「あのとき甲子園に行けていたら、けがをしてなかったら、指導者の道を選んでいない」と振り返る西村監督。2003年に母校の監督に就き、翌04年、自らの手でチームを甲子園へ導いた。
母校、そして同期の指揮官の奮闘を、高卒後にプロに進んだ新庄さんは粋な計らいで支えた。日ハム選手時代だった04年の甲子園出場時は移動に欠かせないマイクロバス1台をプレゼント。前回出場の21年は「甲子園での野球をちかっぱ楽しんで暴れてきんしゃい!! 新庄剛志」とメッセージを入れたTシャツ200着を差し入れた。西村監督は「あいつはようしてくれますよ」と感心する。
35年越しの再戦で勝利した福岡大会決勝にも新庄さんはすぐ反応した。インスタグラムに「高校時代共に3年間甲子園を目指し、戦った慎太郎『西村監督』本当におめでとう」と書き込んで祝福。「甲子園観に行けたら行くばい!!」と宣言し、学校に日ハム選手が使っている木製バット20本を贈った。
甲子園入りした選手たちは新庄さんからのバットをまだ目にしていないが、太っ腹なプレゼントは選手たちを大いに励まし、初戦の金足農(秋田)を6―4で降すと、2回戦の菰野(三重)戦は13―0で大勝した。
「一試合でも多く勝って新庄が見に来られるような時間があればいい」と話していた西村監督。3回戦がある17日は、新庄さんも京セラドーム大阪でのオリックス戦で関西に滞在していることから、観戦の計画が具体化した。
チームは優勝した1992年以来の勢いに乗る。「新庄にいい意味の報告ができるかな」と西村監督。選手たちは聖地での全力プレーでOBのエールに応えるつもりだ。【池田真由香】
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