【掛川西-岡山学芸館】二回裏岡山学芸館1死、小田が二塁打を放ちヘッドスライディング=阪神甲子園球場で2024年8月15日、渡部直樹撮影

高校野球・夏の甲子園2回戦(15日)

○岡山学芸館2―0掛川西(静岡)●

 迷いなく一塁を蹴った。二回だ。1死から打席に入った岡山学芸館の6番・小田裕貴選手は4球目、真ん中寄りの狙った直球に反応すると、打球は一塁手の頭を越え右翼線に落ちた。右翼手が打球の処理にわずかに遅れた隙(すき)を逃さなかった。「いけるな」。スピードを加速させた。

 二塁には頭から滑り込んだ。好判断で二塁打とし、好機を演出した。小田選手は安打で三塁に進むと、1死一、三塁から岡山学芸館はさらに仕掛けた。8番・田井和寿選手の打席の4球目。バスターエンドランのサインが出た。田井選手はきっちり遊撃手の前に緩いゴロを転がすと、好スタートを切った小田選手は生還。好走塁を絡め、泥臭く先制点をもぎとった。

【掛川西-岡山学芸館】岡山学芸館の先発・丹羽=阪神甲子園球場で2024年8月15日、山崎一輝撮影

「3点取れば勝てる」

 小田選手が「3点取れば勝てる」と話すように、チームがこだわってきたのは少ない好機でしぶとく1点をもぎ取る野球だ。そのなかでも次の塁を狙う意識を徹底する。練習から常に実戦を想定した走塁を意識してきた。打球の行方や野手の捕球姿勢を瞬時に見極め、走塁の判断に生かす。さらに三塁に走者を置いた場面ではエンドランを仕掛けて緩いゴロを狙い、確実に生還する練習にも取り組んできたという。

 二回の攻撃はまさに磨いてきた策が凝縮されていた。田井選手は「今までやってきたことだからこそ変わらずできた」と大舞台で発揮できた手応えを振り返った。

 1回戦では犠飛で奪った1点を2人の投手が守り抜き、2回戦も背番号11の丹羽知則投手が完封した。しぶとく得点を奪い、投手陣を中心に守り抜く。佐藤貴博監督が掲げる「とにかく貪欲に泥臭く、1点をもぎ取っていく」という野球を体現し、甲子園初となる2勝目を挙げた。【牧野大輔】

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