高校野球・夏の甲子園2回戦(14日)
○京都国際4―0新潟産大付●
中軸に右打者が並ぶ新潟産大付の打線を見て、京都国際の小牧憲継監督は、甲子園初登板となる2年生左腕・西村一毅を先発マウンドに送った。
「左投手対右打者」は一般的に不利とされるのになぜか。それは西村の持つ「特殊球」があるからだ。
「ボールが止まって見えたんです……」
新潟産大付の右打者は、口々にその球の脅威を語った。それが決め球のチェンジアップだ。
直球と変わらない軌道から打者の手前で急ブレーキがかかる。まさに「時が一瞬止まった」ように感じるのだろう。右打者からすれば遠くへ逃げていくからつかまえづらい。一回2死一、二塁のピンチも低めのチェンジアップを打たせて脱した。
チェンジアップを投げるコツは「手首を固定して真っすぐと同じ(腕の)振りで投げること」と西村は語る。さらに直球以上に腕を振ることで、“抜け”と落差を生むのだ。
要所で決め球が決まり、3安打でシャットアウト。「完封は意識していないけど、チームを勝たせることができたのでそこが一番」と涼しい顔だった。
繊細な指先の使い方と高い身体能力。小牧監督は2021年夏の甲子園で4強入りした時のエース左腕・森下瑠大(DeNA)に「似ている」と言う。西村も森下に憧れて、京都国際に入学した。
それだけの逸材も、今春のセンバツはベンチ外。その悔しさが成長の養分となった。投げ込みを増やし、制球力が増した。背番号「1」を付ける左腕・中崎琉生との「二枚看板」で春の近畿大会を制した。
森下、前チームの杉原望来(広島)、中崎に続き、またも好左腕が現れた。「(次戦も投げる気持ちは)あります」と西村。系譜を継ぐ資格は十分だ。【生野貴紀】
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