花束を贈られる佐藤和人選手=兵庫県警本部で2024年8月13日午後4時43分、大野航太郎撮影

 パリ・パラリンピックのパワーリフティング男子107キロ級に出場する兵庫県警の佐藤和人巡査長(44)の壮行会が13日、県警本部で開かれた。佐藤選手は「ずっと目指していた舞台。悔いの残らない大会にしたい」と意気込みを語った。

 神戸市出身。運転免許課で勤務する。白バイ隊員を目指していた2013年、訓練中に転倒し、脊髄(せきずい)を損傷。下半身に障害が残った。

 当時は1歳の長男を抱え、半年前に次男が生まれたばかりだった。2児を連れ病室を訪れた妻は、ベッドの上で体を動かせない姿を見て言葉を失っていた。「不安で目の前が真っ暗になるようだった」と振り返る。

 それでも家族のためにリハビリに打ち込み、約1年半後に復職した。さらに福祉施設の職員に勧められ17年に競技を始めると、みるみる力を付け、日本選手権を3連覇した。「トップレベルでは健常者を超える記録を出すことができるのが、この競技の魅力」と語る。

 パラリンピックには今回が初出場。「見た人が『自分も頑張ろう』と前向きになれるような姿を示せたら」と語る。

 壮行会には県警幹部ら約120人が参加。佐藤選手を激励しようと花束が贈られた。【大野航太郎】

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