何ともゴールが遠い。3季前までサッカー・J1で無類の強さを誇った川崎フロンターレが、どっぷりと沼につかっている。4月に入って2分け2敗。無得点は4試合連続で、2012年以来12年ぶりの泥沼である。
課題は選手の距離感
「責任を感じていますし、後ろがゼロで抑えてくれたので、なんとか(ゴールを)こじ開けなきゃいけなかったんですけど。個人としての力不足もそうですし、チームとしてどう崩していくのかも、なかなか改善されていない」
20日にホームで東京ヴェルディを迎えた第9節も0―0で引き分け、途中出場したFW小林悠選手は苦しげな表情でそう語った。
自身が得点王や最優秀選手賞に輝いた17年にJ1を初制覇し、18、20、21年も優勝。正確なパスワークでボールを支配し、圧倒的な攻撃力を誇った。しかし、この日はボールはキープできても、試合を支配できているとは感じられなかった。
小林選手は課題をこう考えている。
「(敵陣で)押し込んでやれれば選手間の距離も近くて、ダイレクトにつなげられるが、距離が遠いと相手に狙われる中で(パスを)受けなきゃいけない。選手の距離を近づけ、押し込める時間を増やせれば」
今季は3トップ、または1トップで2列目に3人を並べる布陣で戦ってきたが、この日は2トップでスタートし、途中から「トップ下」を置く形に変更するなど試行錯誤した。右のMFで先発し、途中からトップ下に入った主将のMF脇坂泰斗選手の見方はこうだ。
「得点できていないのは、質が低いということなので、上げていく作業が必要。ラストパスや、そこに至るところで急いでしまって(相手守備網に)引っかかるけれど、(味方に)フリーの選手がいるシーンもある。そこ(選手間の狙い)を合わせていかないといけない」
三笘薫選手(ブライトン)、守田英正選手(スポルティング)、田中碧選手(デュッセルドルフ)、谷口彰悟選手(アルラヤン)といった主力が次々と海外に渡った。22年は2位、23年は8位と順位を下げ、今季は現在16位と苦しむ。
17年から率いる鬼木達(とおる)監督は4試合連続の無得点に「そこが一番悔しいところ」と話した。
「攻撃と守備を分けて考えてはいけない。(守備で)安定感を持ちながら攻撃することで、より前のところにパワーを持って出ていけるが、少し後ろ髪を引かれながらという部分もある」とし、「質にこだわってやり続けるしかない」と語った。【江連能弘】
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