高校野球・夏の甲子園2回戦(12日)
○明徳義塾(高知)7―0鳥取城北●
最高の甲子園デビューだった。明徳義塾の2年生左腕・池崎安侍朗(あんじろう)投手がわずか95球、5安打で完封勝利。100球未満で完封する「マダックス」を達成する堂々たる投球だった。
汗が噴き出してくるような蒸し暑さでも元気いっぱいだった。しかも「完投するつもりでマウンドに上がった」という。「暑さ対策」として球数を抑えることを意識した。
一回をわずか9球の3者凡退で終わらせると勢いに乗った。球速こそ130キロ台前半だが、キレのある直球に制球力抜群の変化球で緩急を付けた。「低めを徹底して打たせて取る」。八回に初めて三塁に走者を進めたが、得点だけは許さなかった。
八回の攻撃が終わった直後、誰もいないグラウンドへ勢いよくベンチを飛び出した。この時点で80球。九回は上位打線を15球で料理し、3者凡退で抑えた。「全部出し切って完封しようと気合を入れてマウンドに立った。疲れは全くなかった」。味方の大量得点に恵まれたが、それでも集中が切れることはなかった。
馬淵史郎監督は池崎の投球を「つかみどころがない」と表現する。「強豪校との練習試合でもほとんど完封している。小さいけど体力があって、夏にめちゃくちゃ強い。走り込みの練習でもバテない」と信頼を置く。夏の甲子園でマダックスを達成したのは、2019年に星稜(石川)の奥川恭伸投手(ヤクルト)が1回戦の旭川大高(北北海道)戦でマークして以来、5年ぶりだ。
兵庫県尼崎市出身。「甲子園で投げることがずっと楽しみだったので全力を出し切れて良かった」。4歳から通ってきた聖地で最高の汗をぬぐった。【磯貝映奈】
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