パリ五輪のバドミントン会場で、「Taiwan」と書かれた応援用のタオルをファンから没収する警備員(中央)=ポルトドラシャペル・アリーナで8月2日、ロイター
写真一覧

 パリ・オリンピックの競技会場で、「台湾」の応援グッズが取り上げられるケースが相次いでいる。バドミントンの男子ダブルスでは、台湾選手が出場した準決勝や決勝で観客のタオルやポスターが警備員らに没収された。それでも「台湾加油(台湾がんばれ)」の大声援が飛ぶ中、台湾ペアは決勝で中国ペアを破って金メダルを獲得し、会場は興奮に包まれた。

 台湾メディアによると、2日の準決勝では観客席にいた女性が「台湾加油」と書かれたポスターを持っていたところ、中国人とみられる観客の男性に奪われ、持ち去られた。また別の男性が掲げていた「Taiwan」と記したタオルが警備員に没収された。

 台湾外交部(外務省)は「過度な対応だ」と批判する声明を出した。

 4日の決勝では観客が入場する際、厳しい荷物検査が行われた。ある台湾人はロイター通信に対し、「台湾が最高だ」と書かれた横断幕を没収されたと説明し、係員は翻訳ソフトを使って荷物の中の文字を検査していたと述べた。

 中国が国際オリンピック委員会(IOC)に再加盟した1979年以来、台湾は「チャイニーズ・タイペイ」の名義で五輪参加が認められている。台湾を自国の一部と見なす中国が反対したためだ。「国歌」や「国旗」は使えず、台湾のオリンピック委員会の歌や旗を使用する。

 一方、台湾の駐仏代表処(大使館に相当)は「台湾」と書いた物品の持ち込みを明確に禁じる規定はないとしている。

 没収の経緯が報じられると、台湾では中国の圧力を疑う見方が出た。4日の決勝は注目度が高く、会場にはタピオカミルクティーなどで台湾を表現した応援グッズが持ち込まれたほか、台北駅など各地で観戦会を開催。李洋、王斉麟ペアが東京五輪に続く連覇を決めると、喜びが広がった。

 一方、中国国営中央テレビは五輪専門チャンネルで決勝の様子を後半部分のみ中継した。中国でバドミントンは人気の高い競技の一つ。自国選手の出場する五輪決勝を冒頭から放送しなかったことには、中国のネット空間で不満の声が上がった。【台北・林哲平】

鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。