念願の競技施設です。長野県中野市に国際大会も開催できるアーチェリーの競技施設ができました。働きかけたのは、オリンピック元日本代表の女性。「中野をアーチェリーの街に」と意気込んでいます。
国際大会もできる競技場が完成
中野市に新たな競技施設が完成しました。名称は「信州中野アーチェリーセンター」。
「初打ち」を披露したのは、東京五輪・団体銅メダルの武藤弘樹選手です。
規模や設備は国内有数。国際大会も開催できます。
働きかけたのは元五輪代表の関浪さん
この日を特別な思いで迎えた人がいます。アーチェリーの元五輪代表で現在、中野市で暮らす関浪さん(39)です。
元五輪代表・関浪さん:
「アーチェリーと言ったら中野市、中野市と言ったらアーチェリーというようなアーチェリーの街にしたいな」
市に施設の建設を提案した関さん。夢の実現に向けて大きな一歩を踏み出しました。
日本に帰化 北京五輪に出場
関さんはアーチェリーの強豪国・韓国の出身。来日して、大学に進み才能を開花させました。帰化して日本代表として臨んだ北京五輪では個人で6位入賞を果たしました。
その後、結婚を機に、夫の故郷・中野市に移住。子どもが2人生まれてからは練習時間の確保が難しくなり、2015年の国体を最後に現役を引退しました。
クラブ設立 子どもたちを指導
関浪さん(2023年取材):
「引いてきたら、左手そのまま。目線」
しばらく競技から遠ざかっていましたが、妹で現役の早川漣選手のアドバイスもあり2022年、クラブを設立。子どもたちを指導しています。
関浪さん:
「私が持っているノウハウとか全部教えたいので、ついてきてくれればいいなと。頑張ってサポートして、世界で活躍できるような選手と一緒に頑張ることが今の目標で、楽しみ」
競技の普及と選手の育成には競技施設が不可欠。そこで市に建設を働きかけたのです。
アスリートの視点に立った競技場
完成した競技場。市も関さんの考えに賛同し、スポーツによる地域の活性化などを期待して、整備を進めてきました。
中野市・湯本隆英市長:
「大会やイベントなどを開催し、広く周知を図り、合宿誘致や関係人口および、利用者の増加を目指す。日本のアーチェリーの聖地として愛され、親しまれる聖地となるよう努めていく」
50メートルにわたって屋根が設けられるなどアスリートの視点に立った関さんの提案も取り入れられています。
関浪さん:
「屋根があるから雨の日でも暑さ対策にも優れている施設で、国際大会ができるような施設になっている。子どもからお年寄り、体が不自由な方にもすべての人が利用できるように」
「普及」の拠点としても活用
オープンに合わせてこの日は、多くの人に競技の魅力に触れてもらおうとアーチェリーに似た初心者向けの競技「アローベル」の大会が開かれました。
アーチェリーと同じように的を狙い、点数を計算して競い合います。
親子連れなど30組が参加―。
関さんもアドバイス―。
祖父母と参加した児童:
「こう引くやつが楽しかった」
祖父:
「引くことの、右の腕が、相当こつがあるみたい。友達と来たいと言ってたよね。私もまた来たい、もう少し成績が上がるように」
「アローベル」は3歳から参加でき車いすや目が不自由な人も楽しめます。
3歳:
「たのしい」
3世代で参加:
「身近にこういう施設ができたので(子どもが)もしやりたいって言ったらやる機会も」
3歳:
「(選手になる?)なりたい」
全盲の男性:
「面白かった。またやりたい」
母親:
「(息子は)スポーツする機会が少ないので、少し興味持ってくれたのではと感じ、楽しんでいるようなそぶりが見えて参加してよかった」
専属コーチとして指導も
関さんは今後、「専属コーチ」として施設に常駐する予定です。オリンピアンの指導が受けられるアーチェリー場は国内では初めてということです。
「信州中野アーチェリーセンター」専属コーチ関浪さん:
「アーチェリーは集中しないと10点入らない、精神的にもいい。10点に入る感覚が分かったときの快感がすごい、表現できないくらいうれしい」
「中野をアーチェリーの街に」
午後には、こけら落としの大会も開かれ初心者からオリンピアンまでおよそ100人が出場しました。
国内でも数が少ない国際基準の施設ということで、既に「センター」は9月まで大会や記録会で予約が埋まっているということです。
中野をアーチェリーの街に…。
オリンピアン・関さんの挑戦が続きます。
元五輪代表・関浪さん:
「教えてほしいという人がいたら私のスキルとノウハウを全て教えて、世界で活躍したいという人をサポートしたい」
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