パリオリンピック・バスケットボール女子日本代表(世界ランキング9位)は1日、格下のドイツ(同19位)に64-75で敗れ2連敗、決勝トーナメント進出に向け厳しい状況に追い込まれた。男子代表(同26位)も7月30日に大接戦の末フランスに敗れ同じく2連敗。男女とも予選リーグ最終戦(男子=2日ブラジル戦、女子=4日ベルギー戦)に全てを賭ける。

八村左ふくらはぎに違和感「左腓腹筋の負傷」と診断で戦線離脱

日本バスケットボール協会(JBA)は2日、7月31日のフランス戦後に八村塁が左ふくらはぎに違和感を覚え、現地でMRI検査を実施した結果「左腓腹筋の負傷」と診断され、パリ五輪予選の戦線を離脱することになったと発表した。

フランス戦での八村塁(7月30日、ピエール・モロワ競技場)
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2連敗の男子日本はブラジル戦は絶対に落とせない。さらにエース・八村を欠くことになった日本は、司令塔の河村勇輝、渡邊雄太、キャプテン富樫勇樹、富永啓生ら残された代表選手らと、究極の「背水の陣」で“最終決戦”に挑むこととなった。

司令塔・河村中心に団結 フランス戦惜敗の“悔しさ“と八村離脱の“無念”という「原動力」

男子日本代表は、7月27日に77-97の20点差でドイツ(世界ランキング3位)に敗れた後、同30日のフランス(同9位)との戦いに挑んだ。完全アウェイの中、大接戦の末延長にまでもつれ込み90-94で惜敗した。

ランキングの差だけでなく、チームで最も身長が低いのが富樫勇樹の167センチなのに対し、フランスの最高身長はNBA選手のビクター・ウェンバンヤマの222センチ。55センチの圧倒的な体格差だ。

日仏戦で激しくリバウンドを取り合う選手たち。中央はビクター・ウェンバンヤマ(7月30日、ピエール・モロワ競技場)

そのミスマッチも利用しつつ、渡邉飛勇やジョシュ・ホーキンソンなど体を張ったディフェンスリバウンドや、積極的なオフェンスリバウンドを落ち着いて遂行。

シュートに挑む河村勇輝(7月30日、ピエール・モロワ競技場)

1日、国際バスケットボール連盟(FIBA)に予選第2戦で素晴らしい活躍をしたベスト5に選出された司令塔・河村勇輝はチーム最高の29得点、6本の3ポイントシュートも決め着実に仕事をこなしたが、デッドヒートの末日本は惜しくも勝利を逃した。

ドライブする八村塁(7月30日、ピエール・モロワ競技場)

第4クオーター、2度目のアンスポーツマンライクファウル判定を受けて八村塁が退場した後、エース不在に覚悟を決めたかのように奮起し10点を稼いだ河村。しかし、同クオーター終了間際4点リードの状況でフランスに3点シュートを決められた上、ファウルを取られる。試合後のインタビュー時の悔しさをにじませた表情は、この試合を象徴する印象深いものだった。

2日予定のブラジル(世界ランキング12位)との戦いで、注目はやはり河村だ。

河村は代表戦で、前半チームが劣勢の試合で、後半〜終盤に気を吐いたプレーで躍動しチームを勝利へ牽引することがよくある。トム・ホーバス監督は、試合の最初からそうあってほしい、とそのたびにこぼす。

第4クオーター終了間際、フランスに3点シュートを決められる。右はファウル判定を受けた河村(7月30日、ピエール・モロワ競技場)

今回、試合終盤でのチームの躍動を待つ余裕はないだろう。フランス戦での“悔しさ“を原動力にした河村の序盤からの爆発力を中心に、残されたメンバーがスモール・フォワードの巨人・八村の穴をどう埋めていくのか。今までの2試合とは異次元の試合展開となる可能性があり、トム・ホーバス監督の差配を含め、注目の“最終決戦”となる。

エブリン号泣…エース山本不在の女子日本 終始精細欠きミス連発のドイツ戦

女子日本代表は1日の第2戦ドイツ戦、エースの山本麻衣が7月29日のアメリカ戦で脳振とうを起こした影響で欠場を余儀なくされた中、日本は終始精彩を欠いた。

ドイツ選手に激しく対峙する宮崎早織(1日、ピエール・モロワ競技場)

序盤からファウルが混み、パスの連携ミスが目立ち、日本の武器である3ポイントシュートも振るわなかった。宮崎早織が持ち前のスピードと突破力でドライブして得点するなど光るプレーも見られたが、数度流れが変わる局面あるも長く続かず、日本は最後までドイツを追いきれなかった。

ドイツのザトゥ・サバリのシュートにブロックを挑む馬瓜エブリン(1日、ピエール・モロワ競技場)

試合後馬瓜エブリンは「みんなをプッシュすることができなくて責任を感じている」と号泣した。

恩塚ジャパン ベルギーと最終決戦「走り勝つシューター軍団」完徹できるか

女子日本代表が決勝トーナメント進出をかけ最後のチャンスを狙うのは4日予定のベルギー戦。世界ランキング6位の強豪ベルギーには、21年の東京五輪・準々決勝で最終盤に林咲希が3点シュートを沈めて劇的な逆転勝利を収めている。やはり、今回平均身長で約10センチ高いベルギーに対して、日本の武器「3ポイントシュート」は遠隔からの攻撃手段として効果的だ。

ドイツ戦でドライブに挑む町田瑠唯(1日、ピエール・モロワ競技場)

ただ、遠くからのシュート成功には、ボールへのタッチなど、その日によって選手の調子は違うもの。そこだけには頼れない。そこに、恩塚亨監督掲げる「走り勝つシューター軍団」のコンセプトが活きてくる。12人の選手たちが、短い出場時間で次々と交代しながら体力をつないで「走る」。恩塚監督が「世界一のスピード」と称賛する宮崎のドライブをはじめ、身長が高くない日本女子選手が走る姿は頼もしい。その上で、林咲希、山本麻衣、髙田真希など3ポイント砲を得意とする「シューター」が多く揃う。

そんな恩塚ジャパンが、2連敗で失敗した部分をしっかり補って「走り勝つシューター軍団」のコンセプトを着実に実現し切ることが、シンプルに勝利の条件となるのではないか。

初戦・ドイツ戦での河村勇輝(7月27日、ピエール・モロワ競技場)

窮地に追い込まれた男子・女子日本が、究極のピンチを大きなチャンスにできるか。2日の男子ブラジル戦、4日の女子ベルギー戦で“大逆転劇”が起こるか、目が離せない。

フジテレビ系では2日(金)午後5時45分から、バスケットボール男子第3戦日本ーブラジルを生中継で放送する。

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