パリ・オリンピック第5日は30日、女子63キロ級で3大会連続出場の高市未来(コマツ)が2回戦で敗退した。
三度目の正直でのメダル挑戦も、五輪の壁は高かった。届かなかった表彰台に「『何やってんだよ』という気持ちと、『もうこれ以上頑張れない』という気持ちが混じり合っています」。涙が止まらなかった。
カタリナ・クリシュト(クロアチア)との2回戦は延長戦へ。指導二つで相手と並んだ焦りが出たのか、一瞬の油断で背負い投げを食らい、技ありを許した。「慎重に行きすぎた。チャンスを待ちすぎたかな」。後手に回った攻めを悔いた。
2016年リオデジャネイロ五輪は5位。続く21年の東京五輪は2回戦敗退で日本女子選手で唯一、個人種目でのメダルを手にできなかった。東京五輪後の左膝靱帯(じんたい)断裂、男子66キロ級で世界選手権代表経験のある高市賢悟さんとの結婚という大きな出来事を経て、三度目の大舞台に戻ってきた。
夫の賢悟さんは今大会、台湾代表のコーチとして参加。夫婦それぞれで挑んだパリ五輪は苦い記憶が残った。それでも、2度の五輪での挫折や大けがを乗り越えてパリ五輪にたどり着いたことは並大抵のことではない。試合後の取材エリアでは吹っ切れた表情で、自らに言い聞かせるように語った。
「私なりに全力でここまでやってきた。悔いはないに近いかな。もうこれ以上は無理だなと思います」【岩壁峻】
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