30日に東京ドームで行われた第95回都市対抗野球大会の決勝は、初優勝を目指すチーム同士の対決となった。歴史的瞬間を見守ろうとスタンドに駆け付けた人たちには、グラウンドの選手らに特別な思いを託す人もいた。
「仙台鉄道管理局」の野球部として1919年に創部されて以来、30回目の都市対抗出場にして初めて決勝に臨んだJR東日本東北(仙台市)。山形、秋田両県を襲った大雨の影響で、現地では今も鉄路の復旧作業に当たっている社員がいる。スタンドに詰めかけたJR東日本の社員たちは「東京ドームまで応援に来られない仲間がいる。その分も声を出し、選手たちを後押ししたい」と応援により一層、力を込めた。
山形、秋田両県では7月下旬に記録的な大雨となり、鉄道にも影響が出た。山形新幹線は8月中旬まで一部区間で運転を見合わせる見込みだ。在来線も一部でストップしており、復旧作業が続いている。
福島県郡山市で線路の保守・点検業務を担当する中村裕太さん(37)は「応援団長を務めたことのある同僚は災害対策の担当者なので、今日は来られなかった」と明かす。「初の決勝なので絶対に来たかったはず。彼の分も一生懸命、応援しないと」と声をからした。
山形市出身の社員、加藤毅さん(52)は「東北のチームとして、大雨の復旧のために頑張っている仲間たちに勇気を与えられるプレーをしてほしい」と選手たちを見守った。
スタンドには、今大会に出場したものの初戦で敗退したJR東日本(東京都)のファンも友情応援に駆け付け、東北チームと東京チームのタオルが交じって振られた。東京チームのユニホーム姿で声援を送っていた東京都大田区の社員、渡部直哉さん(25)は「今日はオールJR東で東北チームをバックアップします」とタオルを振り回した。【小林遥、竹田直人】
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