インタビューに応じる王貞治さん=福岡県大野城市で2024年7月29日午前11時34分、長岡健太郎撮影

 故ハンク・アーロンさん(享年86)とともに1990年に世界少年野球大会を創設した王貞治さん(84)が、福岡県で開かれている第30回大会の開会式後に報道陣のインタビューに応じた。子供たちに野球の基本を学んでもらうことの重要性など、野球の普及への思いを熱く語った。【構成・長岡健太郎】

 ――新型コロナウイルス禍を経て、5年ぶりに世界少年野球大会が開催された。

 ◆久しぶりで、すごく胸がわくわくしている。子供たちの顔を見て、彼らが待ちに待って大会に参加してくれていると思った。

 --ハンクさんは2021年に亡くなった。

 ◆ハンクさんと純粋に自分たちの経験を子供たちにも経験させたいと始めた。野球は難しいが、やっていると楽しい。残念ながらハンクさんが旅立ってしまったが、思いはつなげられる。ハンクさんの思いを私たちが受け止めて、参加してくれる子供たちに伝えていきたい。そうすれば、未来永劫(えいごう)野球はつながっていく。

世界少年野球大会の開会式で子供たちを激励する王貞治さん=福岡県大野城市で2024年7月29日午前10時56分、長岡健太郎撮影

 ――30回目の節目を福岡で開催できることをどう感じているか。

 ◆記念の大会はできるだけ大きな都市でやりたいと思っていた。福岡は第二の故郷なのでようやく実現できてうれしい。

 --子供たちにはどのように野球を学んでほしいか。

 ◆野球は基本をしっかり覚えていれば上達が早い。教える人も専門家なので、コーチのいうことをしっかり聞いて忠実に練習してほしい。今、プロ野球で活躍している選手たちも最初はみんなできなかった。自分の目標にしている選手を目指して頑張ってほしい。

 --パリ・オリンピックで日本人選手のメダルラッシュが続いている。

 ◆戦争も起きているが、スポーツは平和な戦い。スポーツマンシップや触れ合いから生まれる交流もある。スポーツはこれからますます世の中で中心的な存在になっていくのではないか。みんなで盛り上げていきたい。

世界少年野球大会などについてインタビューに応じる王貞治さん=福岡県大野城市で2024年7月29日午前11時35分、長岡健太郎撮影

 --今回の五輪では野球とソフトボールは競技から外れたが、次のロサンゼルス五輪からは復活する予定だ。

 ◆我々のアピールが足りていないのかもしれない。熱戦は繰り広げられているが、まだ伝わっていない部分もあると感じている。体験をしてもらって、まだ野球を知らない国に普及することが一番大事だと思う。

 --野球を普及したいという情熱の根底には何があるのか

 ◆第1回大会は感謝のつもりで始めたが、子供たちの笑顔と目の輝きを見て、「もっとこうすれば喜んでくれるんじゃないか」と思い30回目になった。子供たちが喜んでくれたことで、もっと野球を広めようという思いが受け入れてもらえると思った。野球を経験していない子供も参加しているが、帰る時には「このまま続けたい」と思ってくれる子供もたくさん出てくると思う。

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