パリ・オリンピックのビーチバレーで28日、当時12歳の少女を強姦(ごうかん)したとして有罪判決を受けた過去を持つ男子選手が出場した。「人権」や「ジェンダー平等」などの理念を掲げる五輪に性犯罪歴を持つ選手の出場を認めたことで、国際オリンピック委員会(IOC)などへの批判が強まっている。
この選手はオランダ代表のステフェン・ファンデフェルデ選手(29)。英紙ガーディアンなどによると、2014年にフェイスブックで知り合った英国人少女と性的な関係を持った。自身は当時19歳で、少女に会うためにオランダから英国へ渡航していた。
少女が緊急避妊薬の処方のために訪れた医療機関が両親や警察に通報して発覚。16年に英国で禁錮4年の実刑判決を受け収監されたが、1年後にオランダに移送され、間もなく釈放された。その後、更生プログラムを受け、本格的に競技に復帰した。
オランダ・オリンピック委員会は、専門家が常習性があるとはみていないことなどから、「安全にスポーツできる環境は確保できる」としてパリ五輪出場を容認。本人は大会中は選手村に滞在せず、メディアの取材にも応じないとしている。
IOCのアダムス広報部長は27日の記者会見で「10年前の犯罪で、多くの更生プログラムが実施された。厳重な対策も取られている」と語り、参加を問題視しない姿勢を示した。だが、「自分のチームならこうした判決を受けたメンバーの参加は容認しない」(オーストラリア・オリンピック委員会)との声もある。
ファンデフェルデ選手は28日の試合でイタリアと対戦し敗北したが、会場ではブーイングも起きた。【パリ金子淳】
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