優勝決定戦で、隆の勝(右)を寄り切りで降す照ノ富士=名古屋市中区のドルフィンズアリーナで2024年7月28日、兵藤公治撮影

大相撲名古屋場所(28日、愛知・ドルフィンズアリーナ)

〇照ノ富士(寄り切り)隆の勝●

大相撲名古屋場所で優勝し、パレードで万歳する照ノ富士(右)=名古屋市中区のドルフィンズアリーナで2024年7月28日、兵藤公治撮影

 先場所まで2場所連続で途中休場していた横綱・照ノ富士が苦しみながらも賜杯を抱いた。ともに目標にしていた2ケタ優勝と名古屋での初優勝を達成した。「ホッとしている。約束を果たせたかな」と安堵(あんど)の表情を浮かべた。

 本割で大関・琴桜に初めて敗れた直後、3敗同士の隆の勝との優勝決定戦は「どっしり構えていこうと思った」という。当たって右のど輪から双差しで寄り立ててきた相手に、照ノ富士は俵に詰まりながら右を巻き替える。体を入れ替えると左上手もガッチリ取った。土俵際は腰を落とし、右のかいなを突き付けて寄り切った。

 師匠の伊勢ケ浜親方(元横綱・旭富士)がポイントに挙げていたのが、立ち合いから一気に寄った2日目の明生戦だ。場所前の稽古(けいこ)不足が不安視されたが、初日から10連勝。「前に出ながら攻める相撲」と評価しながら、「腰や膝が悪いのに無理しているのでは」と心配もしていた。部屋関係者によると、今場所は後半、疲れが取れず苦労していたという。

 照ノ富士が場所中、よく口にしていたのが「圧力をかけられている」だ。この日の優勝インタビューでは「入門して14年間、毎日目指していた相撲がちょっとでも完成できたかなという実感がある。もっとできるように鍛えていきたい」。横綱の面目を保った照ノ富士はさらなる高みを見据えた。【武藤佳正】

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