真夏の「空中戦」はどこまで続くのか――。東京ドームで開催中の第95回都市対抗野球大会は2回戦を終え、24試合で本塁打は37本飛び出した。1試合あたり1・54本で、前回の1・29本を上回るペース。計55本だった第77回大会(2006年)以来、18年ぶりに50本に届く可能性がある。現状を各チームはどう見ているのか。
東京都・東京ガスの松田孝仁監督(43)は①投手の球速が上がっている②打者のウエートトレーニング③科学的分析や分析機器の活用で打球速度や角度を追求するようになった――の3点を挙げ、「これらの要因が合わさった結果、本塁打数が増加しているのでは」と分析する。
近年は打球の速度や角度などのデータを計測できる弾道測定器「トラックマン」などの普及が進む。データが可視化できるようになってきた背景もある。
26日の2回戦で本塁打を放った高知市・四国銀行の南武志選手(28)は「SNS(ネット交流サービス)の発達で(相手投手などの)データが取りやすく、狙い球を絞りやすくなったのでは」と語る。
一方、1、2回戦で大阪市・NTT西日本の計23得点に次ぐ計17得点を挙げている大垣市・西濃運輸は、26日の2回戦で三村政喜選手(27)=JR東海から補強=が放ったソロがチーム唯一の本塁打で、佐伯尚治監督(41)は「もともとホームランを打つチームじゃないので、変わらずつないでいくのがうちの野球」と、冷静にスタイルを貫く構えを示した。
チーム別では太田市・SUBARUの5本が最多で、仙台市・JR東日本東北が4本で続く。神戸市・高砂市・三菱重工West、千葉市・JFE東日本、東京都・明治安田、横浜市・三菱重工Eastは3本。個人では仙台市の大西蓮選手(22)ら6人が2本塁打を記録している。
過去最多は第68回大会(1997年)の計129本。79年に木製バットから、反発力が強く飛距離が出やすいとされる金属バットに変わって以降、打ち合いの試合が増え、「打高投低」の時代が続いた。一方で大量得点により試合時間が長くなることなどが懸念されたため、02年から再び木製バットが使用されるようになり、本塁打数は30~50本前後で推移するようになった。
野球の華でもある本塁打。真夏のドームで今年は何本の花火が打ち上げられるのか。【まとめ・牧野大輔】
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