7月26日、高校サッカーインターハイが開幕した。大会の舞台は、サッカーの聖地と言われる福島県の「Jヴィレッジ」。2024年から福島県での固定開催が決まり、Jヴィレッジでは「夏の聖地」を目指して、一丸となって大会を盛り上げる。

<また福島に来たいと思える大会に>
開幕1週間前。会場では、大会に向けた準備が着々と進められていた。
サッカー競技大会・福島県事務局の田野入清明事務局長は「選手の皆さんには、もう一度福島に来たいと思ってもらえる大会にしたい。それを支える地元の者にとっては、来年もまた実施したいと思える大会にしていきたい」と意気込む。

<サッカーの聖地・Jヴィレッジ>
2024年から、インターハイ男子サッカーが固定開催される、サッカーの聖地「Jヴィレッジ」。かつては日本代表の合宿や、日韓ワールドカップでアルゼンチン代表の拠点として使用されるなど、国内有数のサッカー施設として知られてきた。

<原発事故収束の最前線に>
しかし東日本大震災後、天然芝のピッチは舗装され、並ぶのは自動車やプレハブの宿舎。サッカーの聖地は、原発事故の収束に向けた最前線の拠点へと一変した。
止まった時間が動き出したのは、震災から8年後の2019年。Jヴィレッジは全面再開を果たした。2021年の東京オリンピックでは、聖火リレーのスタート地点に選ばれ、今は「復興のシンボル」として歩みを進めている。

<聖地に憧れ 今は支える側として>
自身も中学までサッカーを続け、Jヴィレッジに憧れを抱いてきた佐藤眞心(さとう まなか)さんは、インターハイの開催に向けて会場づくりなど準備を進めてきた。
「Jヴィレッジという施設に来て、サッカーをしたいっていう選手が沢山出てきてくれれば、うれしい。夏と言えばJヴィレッジというように、がむしゃらに頑張って、熱い夏を過ごしていただけたらうれしい」と話す。

<Jヴィレッジに新たな歴史>
全国に復興の道のりを伝えようと、大会に合わせて拡大された展示も用意した。施設の歴史を壁一面に記したJヴィレッジストリートには、東京オリンピックの聖火リレーの様子などが追加された。
Jヴィレッジの橋本翔太朗さんは「今回インターハイが開催されるということで、ここにインターハイの写真を載せることで、インターハイもJヴィレッジの歴史として刻まれるような形になってもらえたら」と話す。Jヴィレッジを「夏の聖地」に…選手たちを迎え入れる準備は万全だ。

<選手たちのアツイ思い>
大会を前に、全国屈指の強豪校も続々と福島県入りした。青森山田高校サッカー部の正木昌宣監督は「インターハイ優勝に向かって、スタッフ選手一致団結してやりたい」と語った。
福島県代表として出場する帝京安積高校は、この夏初めてインターハイの切符を掴み取った。2009年からサッカー部の強化に乗り出し、プロ経験もある小田晃監督のもと、練習を積んできた。小田監督は「サッカーの技量的には決して高いわけではないが、チームが一体感を持ったり、求められていることを聞けたりするところが、例年よりいい結果につながっている」と話す。
初めて臨む全国の舞台。帝京安積高校サッカー部の平野瑛大(ひらの えいた)主将は「全国大会でも結果を残していかないといけないので、しっかり一つ一つ勝ち上がっていきたい」と話し、まずは7月28日に行われる初戦で勝利を目指す。

「復興のシンボル」が高校生たちの「夏の聖地」として…熱い戦いがいま始まる。

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