日本大危機管理学部の福田充教授=東京都世田谷区で2024年6月27日午後1時25分、黒川晋史撮影

 パリ・オリンピックの開幕を目前に控えた26日、フランスの高速列車TGVの複数の路線が放火され、設備が破壊された。どのような背景が考えられるのだろうか。テロ対策の専門家に聞いた。

 日大危機管理学部の福田充教授は「開会式直前で多くの注目が集まる中、混乱が起き、非常に計画性が高いと言える。先進国ではテロ対策のため通信傍受や監視活動を強化した結果、組織的なテロは計画段階で発覚しやすくなっている。今回の破壊行為が監視網から漏れたものなら、テロ組織ではない可能性がある」と指摘する。

 そのうえで「同時多発的に発生していることなどから複数犯とみられるが、国外の過激派組織の主義主張に共鳴して自国内でテロを起こす『ホームグロウン・テロ』や、なんらかの社会的・政治的なイデオロギーでつながったグループとも考えられる。愉快犯の可能性も否定できない」との見方を示した。

 そして、「フランスは過去にナチスに抵抗したレジスタンスのように鉄道破壊をする作戦が一般的で、珍しい犯行手法ではないが警備が手薄だったのではないか。五輪期間中はライフラインや街中の警戒を最大限高める必要がある」と話した。【パリ木原真希】

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