「野球を通し、日本との交流も深めることができれば」と語るピーター・アデルバイ駐日パラオ大使=東京都港区のパラオ大使館で2024年7月25日午前11時33分、竹田直人撮影

 東京ドームで行われている第95回都市対抗野球大会では、グラブやバットといった野球用具の寄付を29日まで受け付けている。寄せられた野球用具は、野球が人気スポーツの一つになっているパラオに寄贈する。パラオのピーター・アデルバイ駐日大使(65)は「贈られる用具で鍛えられた選手が将来、日本のプロ野球や都市対抗に出場するようになればうれしい」と期待した。

 パラオは、日本から南へ約3000キロの太平洋に浮かぶ島国。日本の屋久島(鹿児島県)とほぼ同じ面積(488平方キロ)に約2万人が住む。

アイライ州

 日本との縁は深い。第一次世界大戦時の1914年、連合国側として参戦した日本に占領された。太平洋戦争が終結する45年まで日本に委任統治され、日本の行政機関「南洋庁」が置かれたこともあり、一時は数万人の日本人が在住した。野球は日本統治時代に持ち込まれたとされ、今もパラオでは野球を「Baseball」ではなく「Yakyu」と呼ぶ。

 アデルバイ大使は毎日新聞のインタビューに「野球は国内で最も人気のあるスポーツ。男の子なら成人する前にどこかで必ずプレーしたことがあるはず」と話す。自身については「あまり上手な選手ではない」と笑うが、審判の資格を持っており、98年にパラオで開催されたミクロネシア地域の国際大会で試合を裁いた経験もある。

 2024年は日本とパラオが外交関係を樹立してから30年の節目の年。寄付される野球用具は、アデルバイ大使の故郷であるアイライ州のチームに贈られる予定だ。アデルバイ大使は「パラオは人工芝の立派な球場もある。日本のチームを招き、両国の交流を深めることができれば」と語った。

 野球用具の寄付は、東京ドーム22番ゲートの横で29日まで受け付けている。

 都市対抗では23年の第94回大会からSDGs(持続可能な開発目標)の一環で、使われなくなった野球用具を集めて寄付する活動をしている。23年はミクロネシア連邦に寄贈していた。【竹田直人】

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