パリ・オリンピック開幕に先立ちスタートしたラグビー7人制男子が行われるフランス競技場は「超」がつく大観衆が沸いた。ラグビーはフランスでも人気競技の一つ。スター選手のある「決断」によって国民の注目度は高まり、パリ五輪の熱気の火付け役となった。
競技開始日の24日、一番の注目を集めたのは今大会の主役、フランスの試合だった。客席にはトリコロールの旗やグッズを持ったファンが大挙して訪れ、歌い、踊り、トライチャンスには「アレー!」と後押しした。2023年秋に15人制ワールドカップ(W杯)も開催。ラグビー愛が強くファンも熱狂的な国柄が反映された客席の光景は一気に高まる五輪熱を感じさせた。
フランス・ラグビー界が誇る「英雄」の決断も注目度を高めた。15人制代表主将も務めたアントワヌ・デュポン選手(27)が、昨秋のW杯後に五輪出場を目指して7人制に移り、代表メンバー入り。今年に入ると15人制代表と所属チームの活動を制限してまで、五輪の7人制に懸ける英雄の姿が、国民の心を揺さぶった。
ラグビー7人制は「セブンズ」と呼ばれ、グラウンドは15人制と同じ大きさで行うが、前後半7分ずつ、攻守が目まぐるしく入れ替わるスピード感にあふれた展開が最大の魅力だ。五輪では16年リオデジャネイロ大会から正式競技として採用され、東京大会を経てパリで3度目の開催を迎えたが、世界的にも、日本国内でも知名度や人気面では、15人制の方が高い。
それだけに約8万人収容のフランス競技場の大半を埋め尽くした、約6万9000人が熱狂する光景は衝撃的だった。国際統括団体ワールドラグビー(WR)は「ラグビーセブンズ史上最大の観客を前に、初日を華々しく飾った」と伝えた。
競技開始前に記者会見したWRのアラン・ギルピン最高経営責任者は「セブンズにこれほどスポットライトが当たったことはない」とした上で「(今回が)セブンズが一皮むける大会になる。セブンズがパリ大会で最も需要の高い競技のひとつであることは証明されている」と自信を見せた。
デュポン選手は圧巻の客席の光景に「雰囲気は良かったし、勝利に貢献してくれる」と喜ぶ。あるフランスメディアの記者は「フランス国民が好きなラグビー、サッカーから五輪競技が始まり、盛り上がった。最高の滑り出し」と語った。100年ぶりの「花の都」での祭典のスタートを、ラグビー7人制が華やかに彩った。【パリ角田直哉】
鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。