捕手、打者としてチームをけん引した市原中央の土橋怜於選手=ZOZOマリンスタジアムで
九回の打席は、気迫を漂わせた。「土橋に回せ」。仲間の叫びにも背中を押され、2死一塁から中前打でつないだが、反撃はそこまで。「自分の出せる全力を出し切って、最後はやり抜いたのかな」と涙ぐんだ。 4学年上の兄・侑弥さんがいた2019年も県4強で終わり、それがチーム史上最高成績だった。翌年の侑弥さんの最後の夏は、コロナ禍で大会自体が消滅(代替大会は開催)。「コロナで試合ができなかった先輩たちの思いも背負って、チームの歴史を塗り替えたかった。本当に悔しい」と無念な思いを絞り出した。 本塁から二塁までの送球は1・8秒を切る強肩、高校通算25本塁打の強打が持ち味の捕手。うち8本は金属よりも打球が飛びにくい木製バットから放った。冬季の練習で使い、「握った時の感触が良かったから」と、この夏も木製で臨んだ異色の球児でもある。 「自分が育てた」と自負する投手陣を巧みにリードし、打者としても中軸に座りチームをけん引した。「信頼される捕手になれたと思う。大学でも信頼を勝ち取っていきたい」と、次のステージを見据えた。(平野梓)
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