【石巻市(日本製紙石巻)-福岡市(KMGホールディングス)】福岡市の先発・木下里都=東京ドームで2024年7月23日、新宮巳美撮影

 第95回都市対抗野球大会は第5日の23日、今大会注目の本格派右腕、福岡市・KMGホールディングスの木下里都投手(23)が石巻市・日本製紙石巻との1回戦で先発した。プロ野球のスカウトがバックネット裏で熱視線を送る中で、四回には自己最速を1キロ更新する156キロをマークした。

 力強い直球は一回から全開だった。先頭打者の初球で153キロをマークすると、2球目も150キロを計測。立ち上がりを3者凡退で切り抜けると、二回には4、5番打者から連続三振を奪った。外角のコーナーぎりぎりを突いた制球力も見事だった。

 四回には2死三塁のピンチでギアが入った。石巻市の6番・石井信次郎に初球から150キロを連発すると、3ボール、2ストライクからの6球目で156キロをたたきだした。判定はボールで四球となったが、潜在能力の高さを印象づけた。

 ただ、三回に2点を失うと、四回にも1失点。四回途中、5奪三振でマウンドを降りた。ベンチではグラブをたたきつけるような仕草で悔しさをあらわにした。

 高校、大学では無名の存在だったが、社会人に入って才能が開花した。入社2年目の今季は九州2次予選から150キロを連発して注目を浴びた。走り込みで下半身の力強さが増し、球速アップにつながった。

 昨秋の日本選手権では、日本製鉄かずさマジックとの1回戦で五回途中4失点で降板し、先発の役割を果たせなかったことも成長の原動力だった。「あの悔しさを晴らしたい」と話していた注目右腕だったが、都市対抗はほろ苦いデビューとなった。【浅妻博之】

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