○西武5―3ソフトバンク●(20日・ベルーナドーム)
「やっぱり1軍で、ホークスと当たる機会を楽しみにしたい」。約2週間前、そう言って新天地に旅立った西武の野村大樹が、早速古巣相手に最高の「恩返し」となる一発を放った。
3番を任され、1死二塁で迎えた一回に、初球から集中していた。甘い球を見逃さず、真ん中付近の変化球を思い切り引っ張った。打球はぐんぐん伸び、西武ファンで埋まる左中間スタンド中段まで届いた。
先月まで同じユニホームを身にまとっていたライバルから放った今季初アーチは、特別だった。試合後は「ホークスファンにも(本塁打を)見てもらえた。育ててもらったホークスに情けない姿は見せられない」と喜んだ。
うれしい理由はもう一つ。今年1月に生まれた長男は「8時までに寝てしまう」。夜の試合で息子が見られる早い時間帯に活躍する姿を見せたいと気合が入っていただけに、一塁を回ると右手を突き上げた。
東京・早実高時代は高校通算111本塁打の記録を残した清宮幸太郎(現日本ハム)を押しのけ、4番を任されていた。ソフトバンクでは出場機会に恵まれなかったが、力強い打撃は折り紙付き。7月初旬という異例の時期に、ここまでチーム打率、総得点とも12球団最低で最下位に甘んじる西武へトレードで加入した自らにかかる期待は十分承知している。
渡辺久信監督代行も「ポイントゲッターになってくれる」と期待を寄せる。プロ2号となった一発が、23歳の若き強打者に覚醒のきっかけを与えるか。【川村咲平】
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