<高校野球・東京>  全国高校野球選手権西東京大会は20日、8試合があり、ベスト8が出そろった。スリーボンドスタジアム八王子では、拓大一が第1シードの東海大菅生に10-9で勝利した。東海大菅生のエース宮本恭佑投手(3年)はけがで苦しみ、スタミナ不足がたたった。「悔いがないと言ったらうそになる。でも、やり切ったと思います」(昆野夏子)

力投する宮本恭佑投手=八王子市で

 息をするのも苦しい。午前10時、気温は33.5度。四回のマウンドに上がった宮本投手が、思わず立ち尽くした。回を重ねるごとに、相手応援団の声援が大きく聞こえてくる。「アウェーな雰囲気だし、きついかも。暑さで頭が回らなくなってきた」  集中力を欠いているのは自分でも分かっていた。「気持ちを切り替えよう」。だが、先頭に右前打を許すと、2者連続四球。暴投と中前打で点を奪われ、マウンドを降りた。ベンチから声を振り絞った。  この回だけで拓大一は一挙10得点し、試合を優位に進めた。東海大菅生は九回に3点を奪って追い上げたが、あと一歩及ばなかった。宮本投手の甲子園への夢はついえた。

試合終了後の挨拶で、拓大一の選手から抱きかかえられる東海大菅生・宮本恭佑投手(背番号1、手前左から2人目)=八王子市で

 この1年間、けがに悩まされた。昨年秋に股関節を痛め、今春は肋骨(ろっこつ)を骨折。リハビリが続いた。ようやく投げられるようになったのは6月中旬。大会前の調子は悪くなかった。強豪校でエースナンバーを付ける誇りを胸に、強い気持ちで夏に挑んだ。  暑さの中で投げ切る準備までは、できていなかった。「投げ込みが足りず、体力がなかった。自分のせいで負けた」。試合後、大粒の汗と涙がとめどなくあふれ、頰をつたった。

チームメートに背中を押され、グラウンドを後にする東海大菅生・宮本恭佑投手=八王子市で

 父は元プロ野球選手の宮本慎也さんで、幼い頃から注目を集めてきた。この日、バックネット裏で見守った慎也さんがねぎらった。「悔しさはあると思う。本人が思いきりできたなら、それでいい。一息ついてから次のステージで頑張ってほしい」。高校では終わったが、父と同じ舞台を夢見て、野球を続ける。 

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