北海道ガス硬式野球部の寺田和史。都市対抗では打線の軸として活躍が期待される=札幌円山球場で2024年6月21日、高山純二撮影

 第95回都市対抗野球大会が19日、東京ドームで開幕する。4年連続4回目の出場となる北海道ガス硬式野球部は大会第5日(23日)の第3試合で東京第1代表のNTT東日本と対戦。チームの勝利へ何が必要か探った。

 6月下旬、JABA北海道大会のエイジェック(小山市・栃木市)戦。北海道ガス硬式野球部の打線がつながったのは同点の三回、2死からだった。

 4番・寺田和史の四球と高橋謙太の左越え二塁打で二、三塁とすると、長谷川寛の遊撃内野安打で走者2人が一気に還り、佐藤槙平が2試合連続となる左中間2ランで続く。すきを逃さない走塁に長打を絡めて一挙4得点。八回にも3点を挙げて都市対抗野球の北関東第1代表を突き放し、強豪の集まる大会で予選3連勝を飾った。

 今季の北海道ガスは今一つ打線に元気がなかった。都市対抗道地区2次予選で見ると、昨季は6本打っていた本塁打が武井伽耶飛(かやと)の1本だけとなり、チーム打率も昨季(3割7分4厘)を大きく下回る2割5分3厘。昨季は2試合でコールド勝ちしたが、今季は1点差の接戦が2試合と守り勝つ試合が目立つ。

 JABA大会のチーム打率は3割となり、復調の兆しも見られたが、工藤賢二監督は「バッティングは水物。良い時も悪い時もある。じゃあ、どうやって1点を取るか。バントや盗塁、犠牲フライなどいろいろなことを絡めながら、攻撃のバリエーションを増やす必要がある」と目指す野球の方向性を示した。

選手間の競争激化

2次予選打撃成績

 今季、北海道ガスの新戦力は内野手・渡辺浩伸の一人だけ。チームがレベルアップするためには、選手たちの底上げが不可欠だった。

 名門・東芝出身の工藤監督は昨シーズン終了後、選手たちに徹底的な体作りを求めた。今季から主将になった武井は「バットを振る本数、走る本数、そしてウエートトレーニングの全てでボリュームが上がる感じ。かなりつらかった」と振り返る。

 「東芝イズム」とも言えるハードなオフのトレーニングを経て、「ウエートトレーニングの数値はみんな上がっている。きつかったけど、成果は出ている」(高橋)とパワーアップに成功した。スイングスピードへの自信を口にする選手も出ている。

 選手たちの底上げとともに重視されたのが選手間の競争だ。昨季まで不動の4番だった寺田は都市対抗予選で3番に回り、中軸を担っていた佐藤は下位打線に入った。工藤監督は「オープン戦からやってきて、ベストの打順を組んだだけ」と説明するが、選手たちは求められる役割をこなしながらアピールに必死だ。

 「2次予選はブレーキとは言わないけど、クリーンアップがあまり打てなかった。ここがもうちょっと活発になれば複数点を取れる」と語る寺田は、JABA北海道大会で4番に復帰。自ら「都市対抗の試金石」と位置づけていた東京第2代表の明治安田戦では、3―4の延長十回1死二、三塁できっちりと同点の左犠飛を放ち、続く浅賀雅人のサヨナラ打を呼び込んだ。

 「ベストパフォーマンスを出さないと、都市対抗に出てくる投手から何本もヒットは打てないが、ベストパフォーマンスは年に1回あるか、ないか。調子が悪くても、四球を選ぶことなどを意識して打席に立っている」と寺田。監督同様に状態の良しあしに影響されない点の取り方を模索している。【高山純二】

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