熱く盛り上がる女子サッカー。2011年のW杯で世界一、そして翌年のロンドン五輪で銀メダルを獲得しましたが、その後、苦しい時期を迎えています。
なでしこジャパンの栄光、挫折、すべてを経験しているのが熊谷紗希選手(33)です。彼女が、キャプテンとして伝えている“あること”とは?
■チームが「たくましさ」を得るまで
2024 MS&ADカップ この記事の写真13日に行われた、パリ五輪前国内最後の強化試合。日本はガーナに大量4得点と快勝。試合後には、自信に満ちた表情の熊谷選手がいました。
熊谷選手「チーム力だけだったら世界一。メチャクチャたくましい人たちの集まりなので」 松岡修造さん
「たくましいですか。海外組も増えて」 熊谷選手
「まだ海外に行ってない選手ですら、たくましいです」
しかし、この「たくましさ」を得るまでには、苦悩と我慢の日々がありました。
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■五輪出場ならず…「大きな打撃だった」■五輪出場ならず…「大きな打撃だった」
2016年 リオ五輪 サッカー 女子 アジア最終予選2016年、リオ五輪出場をかけたアジア最終予選。日本はW杯で世界一を経験したメンバーをそろえるなか、まさかの予選敗退を喫しました。
熊谷選手「あそこから、苦しい時期が始まったなというか。監督も選手も変わって。新生なでしこジャパンになった時、勝てないことも多かったですし、見てくれる方も離れていく、テレビでも放映されなくなる。苦しい時間はすごくあった。日本の女子サッカーには大きな打撃だった」
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■キャプテンとしての意識改革■キャプテンとしての意識改革
熊谷選手がキャプテンを任されたのは2017年。世代交代の中で、意識を変えていく必要がありました。
熊谷選手「私はずっと若い選手たちに言い続けていましたけど、国際試合で相手に対して“こんなにできるんだ”っていう衝撃って、次いつチャレンジできるのかといったら、次の国際試合になる。その国際試合まで自分が戦っている世界は、対日本人。私は、決して海外に出ることが偉いとか、それが正解と言うつもりはなくて。“海外という道もある”ことを日本の選手たちに知ってほしかった」 UEFA女子チャンピオンズリーグ リヨンが5連覇
13年間、海外でプレーし続けている熊谷選手。ヨーロッパの最強クラブを決める女子CL(チャンピオンズリーグ)ではなんと、5連覇という偉業も達成しています。
そこで熊谷選手が見た光景は、日本とはあまりに違うものでした。2022年の女子欧州CL準決勝・バルセロナ対ボルフスブルクに詰めかけたファンの数は、なんと9万1648人にも上りました。
熊谷選手「観る人が求めるレベルも絶対上がってくる。日本ではやらないことも、実際求められる。自分が出るために何をしなきゃいけないかと考えた時に、一番は、その状況で自分が生きていく術を見つけないといけない」
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■心掛けたことは「“憧れ”ではなく…」■心掛けたことは「“憧れ”ではなく…」
海外でしか得られない「たくましさ」を結果で示し続けてきた熊谷選手。さらに代表では、思いを伝えるために大事にしてきたことがあります。
熊谷選手「私がキャプテンになってから、“年齢関係なくぶつかり合えるチームにしたい”という思いが大きかったので。すごく心掛けたのは、選手全員と話すこと。最初は若い選手たちは、どちらかというと“紗希さん”という憧れで。そうではなくて、私を負かしに来なきゃいけなくて。私の上にどんどん来てほしくて」 松岡さん
「『もっと来い』って。『話しかけて来いよ』と」 熊谷選手
「私は澤さんでも宮間さんでもなくて、多分この2人には到底なれない。ただ2人に共通して言えることは、“ついていきたい”と思わせてくれるキャプテンだった。なので私の目指すべきところは、ここかなと思っています」
熊谷さんの働き掛けは、徐々に変化を与えていきます。海外組はこの8年間で増えていき、今では18人中12人(※7/15時点)と過去最多に。さらに去年のW杯では、世界を驚かせる勝利をあげました。
日本がグループステージ第3戦で対戦したのはスペイン。この大会の優勝チームです。
日本は前半12分、ゴール前に抜け出した宮澤ひなた選手のゴールで先制します。そして前半29分に2点目、前半40分に3点目。さらに、ダメ押しとなる4点目が後半37分に決まり、スペイン相手に快勝しました。
そして、今年の2月、その勢いのまま臨んだパリ五輪・アジア最終予選。日本は北朝鮮に2対1で勝利し、パリ五輪への切符を手にしました。
女子サッカー パリ五輪 アジア最終予選 第2戦 日本、五輪出場権を獲得キャプテンに就任して7年、苦労が報われた瞬間でした。
松岡さん「パリ五輪で、どんな夢をつかみますか?」 熊谷選手
「なでしこジャパンは、そこを目指す子どもたちが夢見る場所でありたいので。いやもう、金メダルでしょ。一番輝くメダルがほしいです」
(「報道ステーション」2024年7月15日放送分より)
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