開幕まで２週間を切ったパリオリンピックで活躍が期待される岩手県勢、北上市出身の競歩・高橋和生選手。
実は大谷翔平選手ともゆかりがある高橋選手は、周囲への感謝を胸に初の夢舞台に挑む。
井上智晶アナウンサー
「東京・赤羽にやってきました。こちらで県内出身の競歩の選手が調整をしているということで、どんな練習が行われているのか取材します」
競歩のパリオリンピック日本代表、北上市出身の高橋和生選手。
現在（２０２４年７月１５日時点）は東京を拠点としていて、この日は最寄り駅から練習場所まで歩いて向かっていた。
Ｑ：ウォーミングアップの速さ？
高橋和生選手
「全然、散歩くらい」
東京の不動産会社「ＡＤワークスグループ」に所属している高橋選手は、都内の荒川の河川敷でトレーニングを重ね、パリへの切符をつかんだ。
競歩パリ五輪代表 高橋和生選手
「（五輪は）夢のまた夢の舞台だったので、本当に出られることがなかなか信じられない部分も多かったが、だんだんと自分の中で受け入れられるようになってきて、結果を出さなければという責任感を感じながら練習している」
競歩は文字通り「歩く」競技だが、まずそのスピードに驚かされる。
実際にトップスピードで歩いてもらうと、本気で走ってもついていけないほど速かった。
Ｑ：今のでどれくらい？
競歩パリ五輪代表 高橋和生選手
「９割くらい。ルールを守れる範囲だったら、ラストあのぐらいガーッといく」
高橋選手の２０キロ競歩の自己ベストは１時間１９分１秒。
平均時速は１５．２キロとなり、いわゆる「ママチャリ」並みの速さで２０キロを完走するペースだ。
今回が初のオリンピックとなる高橋選手。
小学生時代は野球少年で、２学年上に今をときめくメジャーリーガー・大谷翔平選手がいる奥州市のチームでプレーしていたという。
競歩パリ五輪代表 高橋和生選手
「一緒に頑張って野球をやった選手が世界で活躍している姿を見ると、自分も世界で活躍したいと思う」
その後陸上に専念し花巻北高校に進んだ高橋選手が、指導者の勧めで競歩を始めたのは高校１年の冬だった。
めきめきと力をつけ、３年のインターハイ・５０００メートル競歩では全国３位に輝いた。
その花巻北高校の先輩には、同じ競歩でリオ・東京と２度のオリンピックに出場し、６月引退した高橋英輝さんがいる。
２０２４年２月に神戸で開かれたオリンピックの選考レースには、英輝さんとともに出場した。
しかし英輝さんは途中棄権し、２人揃っての代表入りとはならなかった。
競歩パリ五輪代表 高橋和生選手
「レース後、英輝さんから“和生ならリレーの代表狙えるぞ”という励ましの言葉をもらって、頑張れたかなと思う。気持ちを切り替えて人を応援できるのが英輝さんの人柄だと思うし、英輝さんのパリへの思いも僕に託してくれたと思う」
高橋選手はパリ大会から正式種目となった男女混合リレーに出場する。
マラソンと同じ４２．１９５キロを、男女２人で約１０キロずつ交互に歩く種目だ。
競歩パリ五輪代表 高橋和生選手
「１０キロを歩いて、女子が歩く間の４５分ぐらいを休憩はさんで、もう１本１０キロということで体が休みかけてる固まってきているなかで、もう１本トップスピードで歩かなきゃいけないところは、対策は本当に必要」
競歩は、両足が同時に地面から離れたりひざが曲がったりするとルール違反となり、警告３つで時間のペナルティーを受け、警告４つで失格となる。
本番に向けて、高橋選手は自身のフォームの最終チェックに余念がない。
競歩パリ五輪代表 高橋和生選手
「（警告）０枚でゴールし切ることが、一番プレッシャーなく思い切ってスピード上げられるので、フォームは非常に重要」
練習では、会社の同僚が結成した特別チームが給水や動画撮影などのサポートをしている。
ＡＤワークスグループ同期 星野里奈さん
「世界で通用する人だと思っているので、いつも通り楽しんで歩いてきてほしい」
競歩パリ五輪代表 高橋和生選手
「金メダルを何としても持って帰りたいと思うし、応援してくださる方々に笑って喜んでいただけるような結果を届けたい」
支えてくれる多くの人への思いを胸に、高橋選手は７月２７日に決戦の地へと出発する。
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