御嶽海(右)に押し出しで敗れた大の里=名古屋市中区のドルフィンズアリーナで2024年7月14日、兵藤公治撮影

大相撲名古屋場所(14日、愛知・ドルフィンズアリーナ)

○御嶽海(押し出し)大の里●

 大の里が御嶽海の技術に屈した。先場所、幕下付け出しデビューから史上最速の所要7場所での幕内優勝を果たした24歳の新鋭は、31歳の実力者に痛い黒星を喫し、大関昇進に早くも黄信号だ。

 左腕をくの字にして脇を固めて立った御嶽海に、大の里は得意の右差しを完璧に封じられて「駄目でしたね」。右からのしぼりやおっつけで上体を起こされてじりじり下がると、見せ場も作れず土俵を割った。

 相手が研究してくることは織り込み済みだった。今場所前、師匠の二所ノ関親方(元横綱・稀勢の里)は「研究される以上の馬力や思い切りの良さが一番必要になってくる」と指摘していた。平幕まで番付を落としているが、優勝3回を誇る御嶽海は取組後「全然、壁になれるようなタイプではないので」と涼しい顔。理詰めの攻めには屈指の技巧派の誇りがにじんだ。

 大関昇進の目安は「三役で直近3場所33勝以上」とされる。日本相撲協会の高田川審判部長(元関脇・安芸乃島)は起点を小結で12勝の先場所としていた。だが、2場所前も前頭5枚目で11勝を挙げており、成績次第では今場所後の大関昇進の可能性もあった。それだけに横綱、大関と後半に当たることが多い関脇での初日黒星は痛い。

 ただ、当人は自分に言い聞かせるように「明日からしっかり切り替えて集中して頑張ります」。二所ノ関親方が何度も口にしていたことがある。「地力を付けることが大事」。技での黒星を新関脇は肥やしにするしかない。【荻野公一】

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