出雲市で開かれたサッカー選手の育成スクール。島根県からJリーグを目指すサッカーチーム「ベルガロッソいわみ」のコーチが運営しています。育成するのはゴールキーパーで、一体どのようなスクールなのか?小中高校そして大学とキーパー一筋だった福島アナウンサーが入門してきました。

福島睦アナウンサー:
出雲市のサッカー練習場に来ています。サッカーの練習なんですが、子どもたち、ボールを蹴っていません…投げています。

7月7日、出雲市内のグラウンドを訪ねてみると、サッカーの練習…ですが、子どもたちはボールを足ではなく、手で扱っています。

福島アナウンサー:
ポジションはどこですか?

スクール生その1:
キーパーです。

福島アナウンサー:
ポジションはどこですか?

スクール生その2:
キーパーです。

福島睦アナウンサー:
ポジションはどこですか?

スクール生その3:
キーパーです。

福島アナアナウンサー:
ということは…みなさん、ポジションはどこですか?

スクール生全員:
キーパーです!

集まっていたのは、なんと全員ゴールキーパー。小学3年生から中学3年生まで、ゴールキーパー専門の育成スクールです。

鈴木ゴールキーパー育成スクール・鈴木勝久代表:
いやー!ナイスキーやけどキャッチできるんちゃうかー?いけるいける!

スクールを開いたのは、鈴木勝久さん43歳。島根県からJリーグを目指す「ベルガロッソいわみ」で、4年間、キーパーコーチを担当。高校サッカーの強豪校・鹿児島県の神村学園でも12年間、キーパーコーチを務めています。12年前、益田市を拠点に立ち上げたスクールは山口、宮崎、鹿児島と県外にも開設、あわせて7校で200人近いキーパーが在籍しています。島根のスクールは、週1回から月3回程度開講。出雲市で開かれたこの日のスクールには、市内のほか、松江市や鳥取市などからも約30人が参加しました。

中学生(スクール歴5年):
レベルの高い練習ができるし、他の選手とも競い合って練習できるので良い環境だと思います。

小学生(スクール歴3年):
(スクールに通って)シュートを止める回数が多くなりました。仲の良い友達にも出会えて良かったです。

1つのチームの中で、同じポジションを務めるのは、控え選手を加えても多くて2~3人というのが一般的なゴールキーパー。集まったのは、異なるチームでゴールを守るライバル同士です。

鈴木ゴールキーパー育成スクール・鈴木勝久代表:
あのチームのあの子はあんな止め方をするんだとか、勝手に競争心じゃないですけど、意識しちゃいますよね、『あいついるな』とか。意識するっていうところは一つ大きな目的ですね。

幼いころからキーパー一筋という鈴木さん。京都府出身で、小学4年生の時に転勤で益田市に引っ越し、これをきっかけにサッカーを始め、ほどなくゴールキーパーというポジションの虜になったそうです。高校卒業後、益田市の社会人チーム・石見FCに入り、天皇杯や国体出場を経験しましたが、ケガをきっかけに24歳で現役を退き、指導者の道に進みました。キーパーは、自陣の最も後ろに立ってゴールを守る最後の砦。一つのミスが勝敗を分けることもある重要なポジションです。

鈴木ゴールキーパー育成スクール・鈴木勝久代表:
理不尽だったりするポジションなので。止めればOKだし、失点してしまうと『なんでよ』ってなりがちな。数秒で変な話、決着をつけられるというか、評価されるというか。そういう責任のあるポジションを子どもたちが進んでやるっていうことに対して、僕はやっぱりそこをリスペクトしたい。

キーパーというポジションは、子どもたちの心を大きく成長させる可能性を秘めていると考えています。技術だけでなく、選手の不安に寄り添いながら、心の成長を重視した指導、同じポジションのライバル同士がチームの枠を超えて力を高め合える環境は、他のサッカースクールにはない特色です。

保護者:
やっぱりキーパーって孤独なポジションなのかなって、親から見ても思うんですけど、キーパーの仲間たちがいっぱいいて、楽しそうにやっているのが一番いいのかなと思っています。

保護者:
嫌な気持ちだったり、良いプレーした時のことだったりとか、そういう気持ちを共感できる仲間がいるというのが良いなと思う。

福島睦アナウンサー:
ゴールキーパー経験者の私も、練習に参加してみたいと思います。

実は小学生から大学時代までゴールキーパーをしていた私も実際にスクールの練習を体験してきました。

久しぶりのピッチ、ゴール隅にシュートを打たれるなど早速洗礼を浴びましたが、
それでも好セーブを見せると…周囲から歓声が上がりました。福島アナウンサーの
モチベーションも上がります。指導はみっちり約30分、しかしあっという間でした。

福島睦アナウンサー:
非常に楽しかったです。私のプレーはいかがだったでしょうか。

鈴木ゴールキーパー育成スクール・鈴木勝久代表:
めっちゃめちゃ良かったですよ。綺麗なダイビングを見せてくれたので。子どもたちもテンションが上がっていました。

福島睦アナウンサー):
同じゴールキーパーとして苦しい気持ちも楽しい気持ちもわかり合える仲間と、コーチと一緒に高め合える環境が本当に素晴らしいなと思いました。改めてこの環境の魅力というのはどのように感じれらますか。

鈴木ゴールキーパー育成スクール・鈴木勝久代表:
キーパーが集まって、お互いが切磋琢磨して、またお互いが見守ってレベルアップしていくところが大きな魅力かなと思います。

最後の砦として、プレッシャーとも戦うゴールキーパーたち。ピッチの上では1人ですが、決して孤独ではないことを教えてくれるのがキーパー専門の育成スクールでした。

鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。