米国の大学バスケットボールで男女通じて最多得点記録を更新したケイトリン・クラーク選手(22)のプロ1年目の年俸が7万6535ドル(約1180万円)と報じられ、波紋を広げている。出場試合が高視聴率を記録する「国民的スター」だが、年俸は男子プロバスケNBAの最低年俸の1割にも満たない。バイデン大統領は「女性はスポーツ界で公正な報酬を得ていない」と訴えた。
クラーク選手はアイオワ大学で活躍し、今年3月には全米大学体育協会(NCAA)の最高峰ディビジョン1の通算最多得点記録を54年ぶりに更新した。NBAのスター選手、ステフィン・カリー選手が持つ3点シュートのシーズン最多成功数も更新。4月7日のNCAAトーナメント決勝ではサウスカロライナ大学に敗れたが、平均約1900万人がテレビ視聴し、過去5年間のバスケの試合で男女やプロアマ問わず最高視聴者数を記録した。
15日に行われた女子プロバスケWNBAのドラフトでも、クラーク選手は全体1位で指名された。しかし、契約額は4年間で33万8056ドル(約5216万円)で、前年のNBAドラフトの全体1位だったウェンバンヤマ選手(4年5500万ドル=約85億円)の0・6%だった。
ファンの間では待遇格差に驚きや不満が広がり、米メディアも「衝撃的な年俸の低さ」との見出しで、WNBAの放映権収入(約6000万ドル)がNBA(約27億ドル)と桁違いに低いことなど背景を報道した。
バイデン氏は16日のX(ツイッター)への投稿で「女性はスポーツ界で新たな境地を開き続けているが、最もすばらしい選手でも、女性は公正な報酬を得られていない。娘たちに息子たちと同じ機会を与え、女性がふさわしい報酬を得られるようにすべき時だ」と訴えた。賛同する声もある一方で、「どうやって報酬を賄うのか」といった声も出ている。【ワシントン秋山信一】
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