◆昨年は他校との連合チームで挑戦、2選手がプレー
打撃練習をする部員たち
「お願いします!」。狭いグラウンドに、選手たちの声が響く。試合を想定した守備練習。2死なのに併殺を狙ったり、走者の盗塁に気付かなかったり。どこに投げて良いか分からず、戸惑う場面も。定位置を何度言っても忘れてしまう選手もいる。 ノックを打つ水野亮助監督(34)が繰り返し、辛抱強く教える。「守備は周りがしっかり声出して教えてあげて」「仲間がミスしたら励まそうぜ」 昨年5月に都高野連への加盟が認められた。昨夏、普通科高校2校との連合チームで初出場した。キャッチボールをする部員たち
しかし、試合に出場できた同校の選手は2人だけ。久保田浩司監督(58)は「学校が単独で出れば、選手の出場機会が増える。一人でも多く試合を経験させたい」と考えた。◆「ここで野球をやりたい」…集まった選手たちが成長
今春、新入生6人が入部した。昨夏の出場を見て「野球がやりたかったけど他の学校では断られた」「ここで野球をやりたい」。部員は12人になり、単独出場が可能になった。練習は週3〜4日。技術が少しずつ上達し、それ以上に成長したのは内面だった。練習で笑顔を見せる部員たち
エースの首藤理仁(りひと)投手(3年)は会話が苦手で、頭に言葉が浮かんでも、うまく表現できずに押し黙ってしまうことも多かった。後輩の面倒を見るうちに、上級生の自覚が芽生えた。後輩の新品のスパイクに靴ひもを通しながら「みんなで野球やるの、楽しいよね。声を出しながら、いいチームをつくっていきたい」とはにかむ。◆白子悠樹主将は可能性を信じて「まずは今年、全力で」
白子悠樹主将(同)は手足の筋力が徐々に衰える難病で、出場機会は多くない。それでも小遣いをためて硬式グラブを買い、病気を言い訳にせず、練習に励んだ。精神的支柱となり、仲間たちの相談に乗る。活動に賛同した企業が寄付してくれた打撃ゲージで練習する部員ら
「病気や障害があっても、野球がうまい子はたくさんいる。そういう子たちが集まったら、うちも甲子園にいつか行けるかもしれない。可能性は1%くらいならある。まずは今年、全力で頑張るしかないです」 鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。